登場する人物はどうしようもなく利己的な人が多いですが、でも皆、行き止まりのような場所で引き返すこともできずに、ぐるぐると彷徨っている気がします。そういったものから目を背けたくもありますが気づけば、先も見えず、振り返ってももうどこにも戻れない主人公、岡村さんの行く末を彼のほんの少し背後から、見届けたくなります。
落ちぶれたライターの主人公が、郷里にほど近い山中の村へと、取材を命じられる。それは、過去に起きた宗教絡みの陰惨な事件についてだったのだが───。現代社会の闇に蠢くクダンというバケモノ。その真相と困窮する山間部の村の闇が重なる先に、とんでもないバケモノが這い出してくるのです。