ゲーム結果報告 p・w・カンパニー本社にて

「いやー、すごいオチ、やっぱりデュエルは最後までわかんないね。お客さんも勝っても負けてもニコニコ楽しいデュエルだったって、大盛況だったよ」


「……道化、貴様はどこまで絡んでいたんだ?」


「どこ、まで?」


「とぼけるな!  思えば初めから違和感があった。あの異界電力のテクノロジー、ぽっと出のあの社長、何よりなぜあいつらはオルガノの存在を知っていた? 知っていたならなぜあのような無駄遣いをしていた? 持っている知識は限定的ではあるがそれでもトップシークレットだった。それをなぜ有効利用しなかった?」


「それは、彼らが愚かだったってことじゃ?」


「あるいは、情報は入手できるか、だ」


「ちょっと待ってくれ、俺たちの中に裏切りものがいるって?」


「白々しい。こんな上位の情報を好きにできるのは今や三人、私とオルガノとお前だけだ。そしてくだんのスネアーが我々の転移に干渉しないよう微調整できるのは、中でもお前ぐらいだ」


「……勘弁してくれよぉ。俺はみんなのことを思って」


「思って、あの結果か? あれはだぞ」


「あ、結果出たんだ」


「あぁ、先ほど確認できた。スネアーからの破壊の影響で、新たな異世界の誕生した。まさしく新世界を作り出したわけだ」


「やった、俺ら創造神じゃん。神話作んなきゃ」


「ふざけるな! これが専門の貴様にことの重大さがわからんはずないだろ!」


「いやいや、一つ二つの新世界で、そりゃ大袈裟すぎでしょ?」


「サイボーグ達との情報と合わせると4つ、正確には4グループがそれぞれを軸に別れ、それがさらに自分らの異世界へ戻る。現状は16だがこれからどんどん枝分かれしていくだろう。この連鎖はもはやカンパニーの範疇の外だ。止めようがない」


「それは、参ったなぁ〜」


「……まさか、お前の目的は、これか?」


「…………なんでもアリなカンパニーが恐れる禁忌は三つ、下克上の禁止、神への挑戦の禁止、そして異世界増殖の禁止、社訓より有名だ。だけど最後のは、少し違う。禁忌を本当の禁忌にするにはもうワンステップ、いやツーステップか、必要なんだ。だからまだセーフ」


「貴様の言葉など信じられるか」


「信じてくれよ。俺はそこからんだからさ」


「……だから信用ならないんだ」


「いやいや、俺は普通に平和主義者だよ? その証拠に、俺は社長にはならないよ。辞退する。これからもあんたが社長のままだ。これならいいだろう?」


「つまり、もはや権力が必要ないレベルまで来てると?」


「んもう、疑り深い。だったらオフレコで教えるけど、俺の目的はもう一つの方だよ」


「もう一つ?」


「もう一つ。禁忌」


「……まさか貴様、神を」


「レディスアンドジェントルメン、今宵のゲームは序章に過ぎません。我らがカンパニーが次に挑戦するは更なる高み、強靭、無敵、最強の強敵相手に団結の力で挑みます。どうかお楽しみに」


「…………やはり貴様は、この場で殺すべきだ」


「そんなおっかない顔しないで、お楽しみはこれからだ、からさ」

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