神隠しって、ありますよね。神の仕業なのか人為的なものか、そんなものはどうでもいいのです。不思議への扉はきっとわかりやすい扉の形なんてしていなくって、気がついたら巻き込まれているような天災的な一面があるのかもしれません。回った後の景色は、果たして同じものなのだろうか。
おばあちゃんの言うことは、ちゃんと聞かなきゃいけない。でもまだ小学生だもの。しようがないよね。その、どうしようもない部分に忍び寄る、「ぞわり」です。にゃーがいて良かった。読み終わって感じるのは、哀愁でした。遠い過去のことを思い出しました。小学生の頃の……。
すれ違う縁は時に幻の景色を紡ぐ。もし取り込まれても大丈夫。ほら、絡まりを解く案内人が、モフモフと尻尾をたてて歩いていく。
ちょっとしたきっかけで迷い込むことが出来る異界。それは普段となにも変わらない日常のすぐそばに存在している。 おばあちゃんに、「だめだよ」と言われていたにもかかわらず、それをしてしまった明莉ちゃんは、異界に迷い込んでしまう……。 でも、ご安心ください。 明莉ちゃんには、「みゃー」と鳴く、心強い「もふもふ」がついていたのです!
御神木の周りを回っちゃいけないよ――おばあちゃんの言いつけをちゃんと守る明莉ちゃん。だけどある日、拾った子猫を追いかけて、つい。明莉ちゃんが迷い込んだ先は?出会った少年、律は果たして?夏の日の、幻のような昼下がり。決して誘いに乗らないように――
決して回ってはいけない御神木や、入ってはいけない山の中。少しほの暗く、何処か懐かしい田舎のそんな風習を意図せず破ってしまった少女はどうなってしまうのか。もふもふなにゃーと一緒に迷い込んだそこは一体――?