当方、花粉症持ちでも鼻炎持ちではないけれども、「あーあるある」と本作を拝読しながら何とか頷いてしまった。
たとえば、「ぐしぐし」とひどい鼻風邪を引いたときに限って持参したティッシュが足りず、番長皿屋敷のごとく残りのティッシュを「いちまーい、にまーい」と数えながらヒヤヒヤする、無料やお安めのティッシュで鼻を噛み過ぎて鼻の下がガビガビ状態になる、また初めて頂き物の高級ティッシュで鼻をかんだときの衝撃と感動、イケメンがマスクしてるとその下の部分も気になって仕方がない!とか、もろもろ思い出してしまったのである。
ともかくも、「鼻ぐしぐし」が一篇の楽しくキュートな青春恋愛物語に仕上がっています。
鼻炎×ときめき。
触れ込みからして、インパクト大な本作。一見、水と油くらいに異質な両者を組み合わせた所からして凄いですが、なんと、しっかりときめけます!!!!!
主人公の南晴風ちゃんは鼻炎に苦しむ高校一年生。彼女を通して秀逸に語られる花粉症あるあるは、一度でも襲いくる花粉に苛まれたことのある人ならば、共感間違いなしです。今は花粉症を患っていないあなたも、将来、いつかかってしまうかわかったものではありません。本作を読むことで、鼻炎の苦しみに想像を巡らすことができることでしょう。
そして、忘れてはならないのが、本作のヒーロー風雅先輩!
紛うことなきアンニュイ系の美少年(花粉症持ち)です。私も結構重めな花粉症持ちでしたが、こんな親切で優しい先輩と出逢えるきっかけになるんだったら、花粉症に生まれてきてよかったと本気で思えそうなくらいに素敵です。
コメディパートはもちろんのこと、ラブ的な意味でもにやにやできるおいしいラブコメ短編。ぜひ、発想の勝利に驚きつつ、存分ににやけながらお読みください!