絶望を喰む黒竜【Etzel】


『……………………マリー』


『あァ……。…そうか』


『なれば、そうさな』


『今一度、世界を真逆に』


『くく』


『ハハは』


『…夢は今も廻りて、忘れ難き我が故郷』


『さあ』


『凱旋しよう。我ら、竜の時代の再来だ』






【名前】『黒竜王』エッツェル


【性別】男性


【武器】破滅のブレス


 生物を死に至らせ、物質を崩壊させるどす黒い瘴気を圧縮して放つ。その気になれば都市一つを丸々消し飛ばすほどの威力を放つ。

 実は結界などの魔術系障壁なら威力を軽減できる。真銀竜はブレスでこの攻撃を相殺できる。




【特殊能力】


暗黒竜術:破壊を司る暗黒竜の力。様々な形の破壊を行使する。


影を引きずる…足元から手の形をした無数の影が現れて、足に絡みつく。暗黒竜の体内に引きずり込まれることはないが、初見だとたぶん焦る。機動力が奪われるのはもちろん、触れていると徐々に体力が奪われる。


質量のある闇…ブレスとはまた異なる、かなり広範囲に広がる黒い霧の攻撃。包まれると体がマヒする恐れがある。


イッティハット…着弾地点から渦を巻くように連鎖的に爆発が広がる攻撃。


血塗られた瞳…暗黒竜、迫真のガン飛ばし。瞳が光るとまるでバジリスクのように対象が石化する。ただし単体にしか効果がない。


アルマゲドン…大技。空中に無数の隕石を召喚して雨のように降らす。1回使うと5分程度のクールタイムが必要。


配下招集:配下の亡霊兵を200体召喚する。


黒き鱗:竜族による攻撃か、対竜特攻の武器でしかまともにダメージを与えられない。特に、文明が進んだほど進んだ兵器であるほど、なぜかダメージが通らなくなる。ビーム兵器とかだと絶望的。逆に古い武器だとある程度ダメージが通るかもしれないが、素直に竜特攻を用意した方がマシ。


竜王のカリスマ : 竜種の頂点、『破滅』を司る王としての威厳。同じ竜種はその圧倒的な存在感に平服し、忠誠を誓う。これに抗うと竜としてのパラメーターが二段階下がる。また真銀竜だけはこれの影響を受けず、彼女の『神竜のカリスマ』の加護を受けている者も竜王の圧迫力から抜け出せる。


竜器召喚 : 自らの躰から削り出された三種の武器を手元に呼び出し使用できる。

・竜爪より造られた『グッドホープ』はあらゆる武具に変形可能な鎌。

・竜角より造られた『アノータトン』は魔力の流れを司り、死者への絶対優位権と命令権能を有する錫杖。

・竜牙より造られた『ブレッケツァーン』は大質量の超重武器…なのだが何故かこれは竜王の召喚に応じず出て来ない為使用不可。



【容姿】


 漆黒の軍服のようなものをきっちり着こなした、一見すると誠実そうな軍人風の男性。黒髪はうなじに届く程度まで伸ばされており、ローテールに括られている。

 その赤い瞳に光はなく、全てを達観した眼差しで見渡す様はあらゆるものを理解し、そして興味を失ったような雰囲気を漂わせる。


 本来の竜形態はとてつもないスケールを誇る為、よほどのことがなければその姿に戻ることはない。

 全長1,600m 全翼1,200m 光を全く反射しない、漆黒の竜。巨大な瞳だけ血のように赤く、睨まれたらひとたまりもない。

 





 宙を巡る原初の竜にして、すべての竜を束ね、すべてを破壊する支配者。


 暗黒竜エッツェルは、太古の世界をいくつかの竜と共に支配していたが、その世界に引っ越してきた神々との激烈な争いを繰り広げた。神をも打ち砕く強大な力を有していたが、その暴虐極まる性格故、配下の竜からも離反者が現れ、最後は初代神竜に肉体を滅ぼされた。


 紆余曲折の末、復活を目論んだ竜王と彼を心腹するとある侍女とを相手取った『天地竜王決戦』にて今代真銀竜を筆頭とする対抗勢力が勝利。その存在を滅却したはずであった。

 だが今代真銀竜エヴレナは当時まだ竜としての成熟を遂げておらず、致命傷となるはずだった神竜のブレスは竜王を殺し切るに至らなかった。

 結果としてかろうじて残された竜王の魂はその世界を離れ、故郷たる竜の世界へと帰郷し再生を図った。

 そこで、竜王はその世界には存在しないモノを見つけた。


 卵が先か、鶏が先か。


 それは竜の王が見つけた偶然なのか、あるいは絶望の概念が見込んだ破滅の必然なのか。





   『隠しステータス』


   【πίθοςの加護】


 黒竜王エッツェルが呑み砕き、取り込んだ絶望の概念。滅びかけていたエッツェルの躰を修復し、強化し、この世界を正しく滅ぼす為に竜王を動かす。

 ただし竜王は自身の故郷を滅ぼすつもりは毛頭なく、エッツェルはこの概念体の影響を振り払い、逆に支配下に置いた。

 絶望の概念体は今、竜王の心臓と同化している。




   【ἐλπίςの反抗】


 最強であり無敵である竜王エッツェルは絶望の概念体を取り込むことでさらにその強度を増した。だが同時に彼はΠανδώραの影響を受けエルピスのカウンターがその身に特効を有する躰にも変質してしまっている。つまり彼は同胞たる竜族の力、竜種に通じる武装での攻撃に加え、エルピス自身かエルピスの祝福を受けた者の攻撃も通るようになった。

 その心臓、もはや希望の刃にて砕かれる定めにあるも同然か。






   『攻略メモ』

 強すぎる竜。前回はこんな感じ↓

https://kakuyomu.jp/works/1177354054885714804/episodes/1177354054890640073

 で、なんとかかんとか撃破したけれども、実際は半覚醒だった上に本体が直接闘ったわけではないから正直これより状況は厳しい。

 絶望の概念体を取り込んだことにより強化と弱点が同時に増えるという奇妙な事態になっている。


 倒すには記述の通り同族の竜を仲間にするか、竜特効の武装を用意するか、エルピスと会ってその祝福を受け取るかしなければならない。他に何か策があればそれは各作者さまの機転にお任せします。ソルトは思い浮かばない……。


 あと竜器召喚の際、アノータトンはともかくとしてグッドホープを呼び出した際には本来の使い手であった死神が連鎖して召喚される…かもしれない。たぶん前回の決戦でも協力してくれたから今回も手を貸してくれると思う。思いたい。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886873008/episodes/1177354054886873661

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889051804/episodes/1177354054889054417



 黒竜王エッツェルは堂々と世界を渡り歩き、竜族には対話で軍門にくだらせ、抵抗するならばカリスマで押し潰し、手ずから殺す。故郷の世界に蔓延る異物を片端から消し飛ばし、竜王の世紀を再び己が物にしようとするだろう。


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