〝変転・反〟の概念体【Stanford】
『ほら、お前は誰だ?弱きを助ける善人か?』
『違うだろ?お前は正義の執行者だ。お前の目の前にいるのは罰すべき罪人だ』
『ほら、拳を振れ!囚人を痛めつけろ!お前にはその権利がある!』
『ほら、ほら!!お前が正しい!お前が全てだ!お前がやれ!!』
黒い帽子、黒いスーツ。黒い警棒を手に持ついかつい看守のような姿をした概念体。常に威圧的に言葉を掛け、対象の行動を肯定し続ける。
【prison experiment】
Stanford出現時に発生する、一定領域を支配する場。とある実験の監獄にて行われた心理学の概念体。
最大領域範囲は半径五十キロメートル。一度領域が展開されると脱出は不可能。概念体を倒すしかなくなる。
Stanfordの支配する理は単純明快であり、領域内では生物の思想が反転する。ただそれだけの法則。
すなわち善性の者は悪性に、時間にルーズな者は時間に厳格になる。
敬虔な教徒は無神論者になるし、暴力を嫌う者は逆に力を正義にする。本来の性質・属性を真逆に返してしまう故、世界の為に闘う者は世界に反する行いをしてしまうだろう。
この概念体もまた精神的な防護を貫通し、種族による優位性を無効化する特性を有する。変転領域内部は神でも人でも等しくその概念に従わざるを得なくなる。
またこの能力は思想だけではなく、時間経過でやがて身体特徴すらも変転させる。
神は人に、人は神に。男は女に、女は男に。囚人は看守に、看守は囚人に。
『攻略メモ』
インチキ三体衆の一体。破格の〝絶望〟に呼び出された上に性質を歪曲強化されたもんだから尚更意味不明の性能になってしまった。
この三体はメンタルに強く作用してくるチートを持つ。普通に因果律弄ってもほとんど意味を成さない。
とびっきりの悪党は領域内では張り切って概念体を倒しに行くだろうし、主人公勢のようなこれでもかな正義の味方はどこまでも悪逆に染まる。ぶっちゃけ領域に入った時点で立場ががっつり逆転するので攻略するなら事前に反吐が出るほどの大悪党を潜ませておくのが一番手っ取り早いのかもしれない。
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