第1話異世界生活すぐに終わる城暮らし1

現在かなりだいぶアレな状況に置かれています。

「……こ、こんにちは」

とりあえず見知らぬ人達に囲まれたのであいさつをすることにしてみました。

「く、くくくくせものーー‼︎」

一番近くにいる少女が叫ぶと上からタオルとお菓子の缶が落ちてきた。

ふと思い出した今僕が全裸であることを慌ててタオルを拾い遅いと思うけど大事な部分を隠した。

「な、何をしていますの早く捕まえてください」

少女はこちらから目を逸らし周りの人達に命令した。

それまで動かなかった人達は一斉に動き出した。

ここで全力で逃走をしようと思いたったが振り返ると壁そして囲まれている状況なのでおとなしく両手を上げた。

そのままタオルで体の一部を隠しながら牢屋ろうやまで連行されました。

「ここで待っていてください……あと一応コレを」

僕をここまで連れてきた人が服を渡してくれた有り難い《有り難い》。

さてこちらとしても今どういう状況なのかわからない為にとりあえず服を着て大人しく待つ事にした。

それからただ静かに心の中で素数を数えながら暇を持て余しているが妙に見張りの人がこちらを見てくる。

「えっと、あなたは勇者様……ではないのですか?」

見張りの人がこちらを身始めてから素数を一七三まで数えるとそんな訳の分からない質問をされた。

「あの何言ってるのか意味不明なんですが」

正直こいつ頭大丈夫かっと言いたくなるような質問を適当に答えまた素数を数えるのであった。


一方その頃、城の中にて召喚された男の扱いについて議論されていた。

「今は失敗した事ではなく今は彼をどうするかです」

念のために書き写した勇者召喚キットの説明書を握りながら集まった人達へと議論を始めた。

「失敗の結果で召喚したとはいえ彼が勇者という可能性はあるのではないのでしょうか?」

確かにそう考えて彼の見張りに聞くよう言いつけたが答えはこうだった。

「彼は自分が勇者であることを否定しました」

本当にどういうことか失敗する確率を出来るだけ下げたというのに。

それよりも今は召喚された彼のことだ。正直こっちから勝手に呼んだんだから責任という物があるのだ。

「とりあえずしばらくの間は彼を客人として扱いましょう」

一応の応急処置でしかないがずっと牢獄ろうごくに入れているので可哀想かわいそうだ。

この意見には誰もが納得するしかなくこれからは彼の意見を聞きながら進めていくしかないだろう。

「彼を連れてきてください。状況の説明ぐらいはしなければいけないでしょうし」

部屋からひとりの騎士が呼びに出た後に騎士長以外を退出させた。

はぁこれを説明したら多分怒るだろうなぁ。

でも仕方ないか勝手に呼ばれて帰らないとか言われたら怒んない人なんていないだろう。


再び牢獄。

あぁ暇だやることない素数を数え飽きた。

そんな自分の気持ちを知らず未だに見張りがこちらを見てくる。あぁこいつも暇なのだろうか。

これからどうなる事やらそれとは別に腹も減った。

あっそういえばお菓子の缶どこに持ってかれたんだろう。

今の状況だとそれもどうでもいいがやはり空腹が一番問題だな。

空腹を我慢していると檻の前まで見張りとは別の騎士が入って来た。

「出ろ姫様がお呼びだ」

やってきた騎士が無言で牢屋の鍵を開けると開けた理由を話し姫様がいる部屋の前まで案内された。

「失礼します。連れてきました」

横にいる騎士が扉の前で一言掛けて扉を開けた。

中は長方形のような感じで真ん中に長いテーブルがあり部屋の広さに対して二人しかいなかった。

一人は鎧に身を包んだ騎士そしてドレスを纏った銀髪の少女がいた。

「長い間あのような所に閉じ込めてすみませんでした」

牢屋に閉じ込めたことの謝罪をされた。

よく見ると捕まる前に僕の近くにいた人だ。

「これからあなたを出来るだけ不自由させないように話し合いが出来ればと思っております」

礼儀正しく言ってもどういう状況か分からないのですがつまり何?

ずっと現実逃避じみたことをしていたので会話についていけない。

「……あの……詳しく状況を説明して欲しいのですが」

どうやらこの状況を把握していないのは僕だけらしいその証拠にみんな何か考え始めたよ。

“そういえばさっき不自由させないとか言わなかった……えっ何ここで暮らすの?”

「誠に言いにくいのですが元の世界に帰らないというのか……」

「ちょ、今元の世界に帰れないって言ったつまり別世界という認識でオッケー」

……おっと一回落ち着こう急に大声出したからみんな驚いてる。

「……あっはいそれで間違いないかと……怒ったりしないのですか?」

怒るなぜこの人は僕が怒ると思ったのだ……あっもしかして元の世界に帰れないことなのか成る程……。

大きく息を吸い込みその問いに答えた。

「ふっあんな世界二度と戻りたくないわ‼︎」

そう言ってやると僕以外のこの場にいるみんなが目を大きく開けて止まった。

「むしろお礼を言いたいよあんな退屈な場所から連れてきてもらった事に」

そしてまた落ち着こうスーッハーッよし僕は落ち着いた。

「あっそういえばなんで僕ここにいるんですか?」

正直今更感あるけど良いよねだって忘れてたし。

質問すると相手も忘れてたのか慌てて説明してくれた。

「えっとある条件を付けた勇者召喚に失敗してしまった結果で貴方がここにいるということでして……」

そうかそうか失敗した結果なのかそして勇者では無いと……そこは失敗しても勇者になりたかったよ。

それと一つよく分からない事言ったな。

「それである条件って何?」

すると今まで一言も喋らなかった騎士がテーブルから何か持ってきてそれを少女に渡した。

「えっとこれにその条件と貴方をこの世界に召喚する際に使った道具の説明書を書き写しましたのでどうぞ」

少女から二枚の紙をを受け取り黙読した。

成る程そういう事か“謎は全て解けた”って大声で叫びたいけどそれを抑えてとりあえず今更僕の紹介をした。

「その僕宮野悠矢みやのゆうやという名前で閏年うるうどしっていう四年に一度しか無い日に生まれまして……」

渡された二枚の紙を返してそこまで言うと少女は返した紙を素早く見て全て分かったような顔をしたが続けて説明する。

「それで僕今一四年生きてきましたけどこの説明書だとまだ三歳らしいです」

・ 注意事項召喚される勇者の年齢を指定した場合は勇者の誕生日の経過回数で決まる

四年に一度しか無い日に生まれ一四年生きている僕はまだ三歳なのだ。

そして紙に書かれている三歳から四歳で発育が一番進んでいるという条件によって一四年生きてまだ三歳の僕が召喚されるのだ。

「まさか成功して失敗するなんて可笑おかしい事ですね」

くすくすと笑い紙を破り捨て窓の方まで歩きそして振り向いてこちらに近づきながら一言……。

「ではユウヤ様にこの世界で有意義に暮らせるように一年程この城の客室で暮らしてください」

そして僕を通り越してドアを開けて客室へと案内されるのだったのだが僕は空腹だったのを忘れていた。

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年齢小学六年生未満の俺の異世界物語 @hikaruisida

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