年齢小学六年生未満の俺の異世界物語

@hikaruisida

プロローグ

その世界には平和が訪れるのに約二百五十年という膨大な時間が掛かった。

最初は小さな火種だった。だがいつしかそれは大戦と呼ばれるまでに拡大して大戦が終戦するまでに百年もの時間が過ぎた。

だがしかし、これものちに起こる世界を揺るがす出来事の始まりに過ぎなかった。

長きに渡る大戦を終戦させたのは一人の男だった。

彼は両陣営の味方ではなかった。彼が大戦に関わったのは気まぐれとしかその時は言えなかった。

彼は圧倒的な力で両陣営の半分の戦力を壊滅させた。それがきっかけとなり両陣営のトップが会談をした。

その結果この大戦事態を無かった事にしようとした。

それを知った男は片方の陣営を壊滅までに追いやった。

そこからは男が世界の敵となった。

その男いる場所に大戦有り、そう言われるまでに男は力を振るい街を国をも戦火で焼いていた頃には魔王と呼ばれるようになっていた。

それに対抗するように三つの王国が魔王に匹敵する勇者の召喚に成功した。

そこからは三つの王国の同盟軍と勇者と魔王の衝突の繰り返しであった。

いつしか勇者と魔王の一騎討ちとなり相討ちで幕を閉じたのが最初の大戦終戦の百四十年後だった。

そこからの残党狩りに十年を使いやっと世界は平和になった。


世界に平和が訪れて三年の年月の経過した。

今は三つの王国の二つが滅びその領地を同盟国だった国の土地となった。これは滅びた国の国民の意見であった。

そしてある程度の修復が完了し落ち着きを取り戻し始めたからこそ議論する必要があった。

「これより第一回“魔王対策会議”を始めます」

長い机を囲んで座る王国のお偉いさんと騎士は手を組みこちらを静かに見ていた。

ピリピリする空気の中で喋る声以外の音は何もない。

「これはまた魔王の様な者が誕生した時の対策会議です、世界に残された勇者召喚の回数は残りは一回で二回以上魔王が誕生した場合世界は魔王の手に落ちるかも知れません」

その一言にざわめくことなくただ皆がうつむいたのだ。

「そこで今回は集まった案の一つが議題です」

この案を見たとき最初はおどろいた。だがもしこれがうまく成功した場合は新たに誕生するかも知れない魔王の脅威きょういに立ち向かえる。

「“勇者育成”この案は残りの勇者召喚で勇者の素質を持つ子どもを召喚し、育て子孫を残させるという内容です」

そこで騎士が手を挙げた、よろい をきていたため喋る声しか聞こえなかった部屋にガシャッと音を立てた。

「どうぞ、質問ですか?」

「あぁ質問だ、案としては良いがリスクが大きいのではないか」

騎士の意見は最もだ、もし召喚に失敗した場合は世界が魔王に対抗する手段が無くなってしまう。

「確かにその通りです、ですが他の案はその場しのぎにしかならないのでこの案を取り上げました」

他の案は行き当たりばったり過ぎるその時に考えるではダメなのだ。

「ですがもし伝承でんしょうが本当だとすれば成功でも失敗でも召喚できなくなるだけではありません」

騎士の言う伝承はここにいる全員が知るものである。世界は召喚された勇者の知識に合わせ変化する。

召喚に失敗した場合は二度と勇者を召喚できなくなり成功しても世界が変わってしまう恐れがある。

もし今世界が変わればやっと落ち着いたのにまた王国が荒れる可能性があるのだ。

「それは対策済みです」

すると少しざわついたりしたので落ち着くまで話を中断した。

「済まない続けてくれ」

全員が落ち着いたのを確認して騎士は続きを求めた。

「今回のコンセプトとは勇者を召喚して育てるという事です。まだ物心ついていない三歳児から四歳児の中で言い方が悪いですが良い個体を厳選して召喚・育成して子孫を残させるという内容です」

集まった方々はただ静かに今聞いた内容について考えていた。

確かにこの内容を簡単に言うと拉致して育てるという非人道的なことだ。

だがこれによりまだ知識という知識がない状態で召喚される為世界の変化が無いと断言できる。

「そろそろ皆さんの意見をお聞かせください」

しばらく考える時間を取り見渡すと騎士がの意見を聞いていきそして応えた。

「私達はその意見に賛成であります……」

結果は全員が賛成した。

だが、まだ騎士が座らなかった。

騎士は周りを見て続けた。

「ですがこれを実行するのはまだ先がよろしいかと思います」

騎士からは早期実行を反対された。

「それはいかほどの理由で?」

「国はまだ落ち着き始めたばかりです、ここでもしトラブルなどがあった場合は国民が国を信用できなくなります」

確かにそれは防がなければいけない。騎士の言うことも間違ってはいないでも再び魔王が誕生した時にちゃんと勇者が育っていないという最悪な事態は起こらない様にしたい。

「では、今後はこの“勇者育成”を計画として次の会議からは詳しい選抜方法の議論で召喚は約一年後でどうでしょうか?」

そして全員から「異議なし」と賛成された為に今日の会議が終了した。

「先月十三になったばっかりなのに頑張るな姫様」

「あぁ陛下も王妃も大戦でお亡くなりになられたのによくもまぁ……お身体を崩さなければ良いのですけれど」

姫は退室した後にそんなやり取りがされているとは知らず自室に戻り次の会議に備えての準備をするのであった。


時は流れるように過ぎ去りそして“勇者育成”の実行日がやってきた。

城の玉座のぎょくざのまには会議に参加した全員が集まっていた。

「それでは最終確認をします、今回召喚するのは勇者の素質がある三歳から四歳の子供でその厳選法はこの勇者召喚キットの勇者条件にしっかりと書き込みました」

この勇者召喚キットは文字通り勇者召喚に必要な道具が一式入っていて使用すると道具は燃えるようになっている。

「それでは勇者条件を読ませてもらいます。年齢三歳から四歳で発育が最も進んでいて理解力がある子供」

これは先週までの会議で決まった内容でここにいる皆が知っている。

「では儀式を開始します」

横のテーブルから勇者召喚キットのひとつ魔法のビンに先ほどの勇者条件の紙を入れた。

そのままビンを手にして玉座の間から外に出て廊下の一番近い窓からビンを落とした。

これは勇者召喚キットの説明書の最後にビンを高い所から落とすように指示されていた為である。

落としたビンは地面に接することなく突如とつじょとして消えたのであった。

「それでは七日後にこの窓の下に集まってください」

ビンが消えたのを確認して振り返り集まった人達の方を向いて伝えると各自あいさつをして解散した。

ここからの七日間ずっと勇者召喚キットの説明書を読んでいた。

・これは勇者を召喚する道具で勇者を帰す道具ではない

・この道具は勇者召喚後に燃えてなくなる

・召喚される勇者に希望する条件がある場合この道具に含まれる紙に書くこと

・注意事項身長や体重などの数値を条件に入れた場合は召喚される勇者の世界基準で満たされる

・注意事項召喚される勇者の年齢を指定した場合は勇者の誕生日の経過回数で決まる

・勇者の条件を書いた紙はこの道具の一つのビンに入れてできるだけ高い場所から落としてください。これにて説明を終了します

これを一日に三回は読んだだろうかこんなにももどかしい七日間を味わったことはない。

そして城内では勇者を迎える準備に取り掛かっていた。

一応にも召喚される勇者は子供である、城内の騎士やメイドも子供用の部屋の準備や効率の良い育て方を調べたりしている。

そしてその作業が終わる頃には既に七日後の朝を迎えるのであった。

太陽が完全に昇り辺りが明るくなる頃城の外に城内にいる騎士やメイドが集まった。

「勇者召喚の儀式を行い七日が過ぎました」

勇者が現れるであろう範囲を背にして喋り始めた。

「これより召喚されるまで当番制でここに何人か待機してもらいます。他の方々は順番が来るまでいつも通り各自の持ち場で待機してください。それから交代する場合は待機している人達は次の人達が来るまでここに居てください--」

話をしているのに対して騎士やメイドは次第に騒めき始めた。

「それからここにある……皆さん静かに話を聞くこともできないのですか?」

いつまでたっても静まらないので話を中断すると皆が背後を指差していた。

「……えっ」

振り向くと淡く発光する魔法陣ができていた。

それだけでも驚くのにそこにはずぶ濡れの全裸の青年がいた。

『…………。』

「……こ、こんにちは」

一同が停止する中その声を聞いて叫ぶ事しかすることがなかった。

「く、くくくくせものーーー‼︎」

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