平凡な人生の終わり

ガルガード

最初の地獄

裕翔(ゆうと)視点


裕翔「はぁ………はぁ………」


クリーチャー「グルアアアア!!!」


裕翔 逃げなきゃ………早く皆と合流して逃げることを伝えないと………!


裕翔 地獄の始まりは1ヶ月前にまで遡る………


〜1か月前〜


裕翔「お疲れ様でした〜」


山嵐(やまあらし)「お疲れ様でーす」


その日 裕翔は早上がりの日で早めに仕事を終わらせて仕事場を後にし帰るはずだった………


裕翔「…………」


いつもの道を歩いているはずが気がつけば全く知らない場所にいて………既に外は暗く携帯を開いてみれば既に親に帰る連絡をしてから3時間も経過していた


裕翔 ここ職場近くの高校か?


何故か職場近くの高校の校庭のど真ん中に立っていた裕翔はとりあえずあたりを見渡すが、何分外が真っ暗過ぎていて何も見えない


裕翔 とりあえず早く帰らないと………


裕翔は親が心配することを考え早く出口をみつけようと校庭を歩き回る………すると警備員がいるのか懐中電灯の光が見えて「すいませーん!」と言う………警備員は声で気がついたのか近寄ってきたが何か嫌な予感がして後ろに一歩下がる………すると目の前を何かが猛スピードで通り過ぎ裕翔ら気がつけば猛ダッシュをしていて………たまたまその学校の近くのコンビニが見えて出口を見つけたのでそこから高校を出る………あそこまで真っ暗だったのに何故いきなりコンビニが見えたのかは不明だが………裕翔はため息を漏らしながら当初の目的である家へと向かうべく、もう歩く気力がなくなったのでバスを待つ


高山(たかやま)「あれ?勿我(ないが)さん?もう帰ったんじゃなかったですか?………」


裕翔「色々あって………」


山嵐「かなり疲れてますね………何かあったんですか?」


たまたまバス待ちであろう職場の人達と会い色々話す


高屋「バス来たね」


裕翔「ちょっと待って」


なんやかんや話している内にバスが来たのだがまた嫌な予感がして乗ろうとした人を制止


神風「乗らないの?」


裕翔「行き先の書いてないバスに普通乗ります?」


そう………そのバスにはどこに行くのかが記されていなかった………それによって裕翔は静止


裕翔 今日はやけに嫌な予感が当たるな………


実は職場でも今日は嫌な予感が当たり事故を予防できたので気難しい先輩方にも褒められた


裕翔「来ましたね 乗りましょう」


先ほどのバスとは違いちゃんと行先も表示されたバスが来たので今回は乗る………すると奥の席に裕翔の友達が乗っていてそこに行く


裕翔「凪咲(なぎさ)じゃん 久しぶり」


凪咲「久しぶり 元気そうだな」


裕翔「いやもう結構疲れてるよ?」


などと話しながら裕翔は外を見てみると見覚えのある道を走っていたので一安心



それが地獄の始まりだと知らずに………




裕翔「………どこだここ」


凪咲「わかんない………」


ふと裕翔が周りを見渡すと知らない場所に立っていて凪咲も隣に立っていた


裕翔「コンビニか?」


内装的にはコンビニそのものだが………何やら異様な雰囲気が………


裕翔「なんか音がしないか?」


ふと裕翔が何かを引きずる音が聞こえ先導を切って歩く………すると明らか人間ではないものと鉢合わせし思い切り腕を爪で刺されて、痛みと同時に声が出そうになったがそれを堪えると相手は目が見えないのか、そのまま別の方向に歩いていき裕翔は近くにあったトイレに身を隠す………窓から周りを除くと凪咲は音を立てずに近づいてきていたので扉を開ける………丁度二人分のスペースのあったトイレにギュウギュウでギリギリ入ったまではいいが………裕翔の腕からはかなりの量の出血が………


凪咲「裕翔 腕から血が………」


裕翔「今は隠れているしかない あとあまり音を出さない方がいい」


凪咲は恐怖で窓を覗くことが出来ないのか蹲っていて裕翔が窓を監視する


裕翔 基本的に目は見えていなくても音で大体の場所を把握するのか………


ぽたぽたと血が流れているのもお構い無しに裕翔は外を観察し続ける………すると何やら得体の知れない物体が近づいてきていて反射的に身を低くした


クリーチャー「ぐるるる………」


裕翔「(凪咲 絶対に声出すなよ)」


得体の知れないクリーチャーが何かを探すかのように室内を徘徊していて、声を出した瞬間に死ぬと察した裕翔はジェスチャーで凪咲にそう伝える


クリーチャー「ぐるるる………」


裕翔「(やばい………)」


裕翔は腕からの出血で血が足らず意識が朦朧とし始めた


クリーチャー「ぐるる………」


だが幸運なことにクリーチャーは何も無いとわかったのかそのまま出入口から出ていき、裕翔は嫌な予感が消えるまでその場で待機


裕翔「行こう」


嫌な予感が消え裕翔は凪咲と一緒にトイレから出る………すると先程までいた者達はおらず2人は出入口から道に沿って歩く


裕翔「…………」


凪咲「裕翔 大丈夫か?」


裕翔「多分………」


裕翔の腕の出血は酷く早く手当をしないと間に合わない


裕翔「凪咲 あれって………」


ふと裕翔が通り過ぎようとした部屋の前で止まり指を指す………するとその部屋には水の中に人の入った大きいビーカーがあり、裕翔は凪咲とビーカーの中からその人を出してその場にあった服を着せる………少しするとその人の目が覚め「生きてる………」と零す


???「君らがこの中から出してくれたのか?」


凪咲「見つけたのは裕翔です」


裕翔「…………」


???「酷い出血だな意識も朦朧としているし………助けられた恩だ一緒に行こう」


青年は裕翔の腕の出血と意識の朦朧さを理解し裕翔の肩を気遣いつつも担いで道なりを歩く


凪咲「所でお名前は?」


???「千薙 陸翔(せんなぎ りくと)だ 元軍人」


裕翔「元………?」


陸翔「この世界じゃなんでも「元」になるんだよ よくわかんないがこの世界に何年も閉じ込められてる」


裕翔 何年も!?


凪咲「日付の感覚とかあるんですか?」


陸翔「ある 外にいる時は昼夜があるし仮に中にいても強制的に寝かされるから分かる」


凪咲「今いくつなんですか?」


陸翔「26でこの世界に来たけどもう分からん 身体的に変化はないから多分元の世界に戻ってもそんなには経ってないと思う」


陸翔はそう説明しながら漸く目の前に現れた扉を蹴破って入ってバスに乗っていた人達と合流


雨宮(あめみや)「!?勿我君!?」


陸翔「この中に医療関係に携わったことあるやついるか?」


???「私が診よう」


陸翔「助かる」


恐らく誰かが助けたであろう人がたまたま医者で彼が裕翔を見てその場にあった物で止血し、持参していたのであろう傷薬と包帯で肩を治療


???「意識が朦朧としているから寝かせておいた方がいい」


陸翔「………丁度煙が撒かれたから全員寝るしかないな」


陸翔は嫌という程聞いたその音で陸翔はそのまま倒れるように就寝


全員「ZzZ………」


そして全員が完全に寝始めたそんな頃………


クリーチャー「ぐるる………」


最初に裕翔と凪咲が見たクリーチャーよりも明らか格の違うクリーチャーが裕翔を発見し、少し裕翔を引きずったのだが………


陸翔「なんの音だ?」


元軍人である陸翔の目が覚めクリーチャーは陸翔が眠るまで静かに待機………部屋の中は真っ暗であるため陸翔もなんの音かわからずそのまま眠りにつく


クリーチャー「…………」


裕翔「…………」


クリーチャーは裕翔の怪我をしていない肩を持ち上げ音が聞こえないところまで来て、裕翔を下ろして口を開けさせて何かを流し込む………1度に大量の液体を流し込んだため少量が口から溢れたがすぐに消えてしまう


クリーチャー「………適合者か」


クリーチャーはなんの変化もない裕翔を見てそう言いながら裕翔を元の場所に戻す………大事な結果を残しながら………


〜〜〜


裕翔「!!」


朝 裕翔は物凄い吐き気を感じて飛び起きトイレに駆け込んで思い切り吐く


裕翔「………ゲボッ………」


陸翔「裕翔 大丈夫か?」


ひたしきり吐き続けていると音で目が覚めたであろう陸翔が心配してそう聞いてきた


裕翔「………大丈夫」


陸翔「大丈夫じゃないな」


取り敢えず一旦の吐き気が収まったので裕翔はトイレを流して出てきたが………陸翔は裕翔の顔色が酷く悪いのを心配して座らせてから優しく背中をさする


陸翔「辛かったらいつでも言え」


裕翔「分かった」


???「大丈夫かい?」


恐らく2人の話し声で目が覚めたであろう医者が裕翔の体調を見てみる


???「血圧は安定しているから時期に良くなるよ」


裕翔「ありがとうございます……」


裕翔は血圧は安定していたらしく少しずつ体調も良くなっていく


陸翔「ところであんた名前は?まだ聞いてなかったな」


???「柳刃 亮尚(やなぎば あきひさ)だ元医者 君は?」


陸翔「千薙 陸翔 元軍人」


軽い自己紹介をしつつ亮尚がここはどこかと陸翔に聞く


陸翔「ゲームの中だよ」


裕翔「ゲームの中?」


陸翔「そう 俺達は実験のモルモットとしてこのゲームの中にいる………全員死ねばゲームオーバーで1人でも生き残ればゲームクリア………その間にそれまでのゲームでゲームオーバーになった者を助けていくと………「資格」を持つ者なら何かが解放される仕組みになってる………だが現実世界とこの世界は同じなのか違うのかは全くわからない………恐らく肉体年齢が変わっていない以上現実世界とこの世界は作りが違う………それにさっきのゲームはまだまだ序盤だ………あの程度なら逃げられるやつも多い………だが本格的になってくると人は簡単に死ぬし戦わなければ死ぬこともある………しかも質が悪いのはその戦闘シーンや逃走している姿を隠しカメラで見てるってこと………この部屋にもいくつかの隠しカメラがあるし来る前の道にもあった………誰かに監視をされているのはわかったがどこで見ているかは不明………推測になるが監視役達は俺達の人間性を見つつ楽しんでるんだろう」


亮尚「やけに詳しいな」


陸翔はその中のことには詳しく亮尚がそう言う


陸翔「何年も閉じ込められてるんだよ だから詳しくなりたくなくても詳しくなる」


亮尚「何年も?」


陸翔「たまに「ゲームクリア」って言う言葉がどこからか流れるんだよ………だからこの世界はゲームの中だと思った………この世界のゲームはクリアまでどれくらいかかるか分からない………まず俺がいた世界から何年経過しているのかも途中で死んだからわからん」


亮尚「君何年前にここに来たんだ?」


率直な疑問を亮尚に言われ陸翔も困り顔になるが考えてはくれる


陸翔「俺のいた時代はモールストーンで連絡を取り合ってたからな………携帯電話とかなかった」


裕翔「ってことはかなり前の時代からいるってことですよね?」


陸翔「そうなる だが俺は1度死んでお前に助けて貰ったからな……その分は削除していいと思うぞ」


裕翔「なんで陸翔さんは死んだんですか?」


裕翔がその質問をすると………陸翔は少し悲しそうな顔をした……


陸翔「仲間を庇って爆発に巻き込まれて小さい鉄骨が腹を貫通して串刺し?みたいになった………仲間が力合わせて鉄骨を抜いたんだけど出血が酷くてさ」


亮尚「さぞ痛かっただろうに……」


陸翔「………身体は痛くなかった 心が痛かった」


陸翔は悲しい顔をしてそう話す………


『ゲーム開始まで残り5時間』


陸翔「アナウスが鳴った 全員起こすぞ」


不意になったアナウンスで陸翔がその場にいた全員を起こす


陸翔「………裕翔 お前は俺といろ」


裕翔「?なんでですか?」


陸翔「お前 狙われてるぞ」


陸翔は夜にクリーチャーが来て裕翔を引きずったのを知っていた………だから護ろうとして共に行動をすると言い出しだのだ


裕翔「え?」


陸翔「地獄が始まる」



陸翔の言葉で裕翔は理解した………自分達は地獄の中に放り込まれたのだと………

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