親子の再会
裕翔視点
陸翔「…………」
暁夜「大佐?」
陸翔「なんだ………」
裕翔「大丈夫ですか?」
意識が戻った後10分間吐き続けその後に横になっているのだが………顔色が物凄い悪い
陸翔「後20分したら良くなる」
陸翔はそう言って目瞑ってしまい少ししてから小さい寝息が
暁夜「こういう時に陸也さんがいたら………」
裕翔「陸也?」
暁夜「大佐の御子息です 一人息子で奥様は事故で………」
裕翔 事故で妻を………
陸翔は事故で妻を亡くしており息子を1人で育ててきた
暁夜「大事になさっていたんです 1人しかいない御子息のために大佐は多くの無理をしてきた」
裕翔「息子思いなんですね」
暁夜「昔は血反吐を吐いても容赦のなかった大佐が突然我々を呼び出した時は驚きましたよ」
暁夜は陸翔のことを話す………高度な技術を持っていたことにより孤立し部下を持ったら、確実に部下が早死するとまで言われた時代もあったこと………そして突然部下を呼び出してきたこと
暁夜「突然呼び出されたと思ったら「お前らは何のために軍に入った?」って聞いてきたんです」
裕翔「…………」
暁夜「それで全員が「国を守り人々を救うためです」って言ったら………「そうか ならば強くなれ」って言ってきたんです」
裕翔「なんでですか?」
裕翔 かなりきついことを言うのかと思ったら………予想外の言葉だな………
暁夜「「軍人たるものいつ死ぬかわからないだろ?それで金の為とか名誉のためだとか言われたってどうにもならないだろうよ?給料なんて支払われないこともよくあるこの軍で金の為に働いて何になる?名誉だって死んだら意味をなさないわけだ 今まで全員に同じことを聞いたが俺が求める答えをしたのはごく少数………お前達全員は合格だ」って言われまして………俺達が「なら何故あんなきつい訓練を?」って聞いたら「俺の訓練についていけるかを見極めるためだ 実際俺は部下を何人も早死させてきたし軍の中では部隊に無所属なわけだ?どの部隊に行こうが馴染めずに弾かれて孤立………ならば何故俺に部下がつくと思う?」って聞かれて「強いからですか?」って返答したら「強いだけでは部下は持てん それ相応の技術がなければ意味は無い」って言われまして………「「スフィーア」に入れ そうすれば俺の持つ全ての技術を叩き込んでやる………勿論技術だけではなく臨戦時の対処法や蘇生術、闇の中での戦闘法、武器の構造、各武器の使い方それ以外にも山ほど伝えられるものはある………孤立している以上自分の城は自分で築くしかないんでな」って言って出て行ってしまいまして………」
裕翔「つまり今まで早死した人って………」
暁夜「大佐の訓練に耐えきれなかった者達か単純に粗相を犯したかです」
暁夜は小さく「結構俺らにも容赦ないことありますから」と裕翔に言う
裕翔「確かにさっきのゲームの時も容赦なかったですね」
暁夜「まだ優しい方です 本当に容赦がなければその場で倒していたでしょうし」
陸翔「お前失礼だろ」
裕翔、暁夜「おはようございます」
漸く体調が良くなったのか陸翔の目が覚め暁夜にデコピン
暁夜「いてっ」
陸翔「デコピンで済ましたんだからありがたいと思え」
暁夜「それもそうですね」
陸翔「よっ………と」
陸翔は元気になったのか片手で身体を支えて起き上がり身体を伸ばす
陸翔「なんの話してたんだ?」
暁夜「大佐が我々に「お前達は何のために軍にいる?」かを聞いてその理由を話していたんです」
陸翔「その後地獄の訓練メニューが始まったけどな」
暁夜「今思えばきつい代わりかなり高度な技術を得られたんですよね」
裕翔 どんくらいキツかったんだろう………
陸翔「軍で孤立するくらいには持ってたからな」
などと陸翔は暁夜と話をする
『ゲーム開始まで残り5分』
不意にそんなアナウンスが聞こえ陸翔と暁夜、武器と防具を持つ者達が大急ぎで準備
陸翔「暁夜 裕翔の近くにいろ」
暁夜「了解」
陸翔と暁夜は軍人らしい武器と防具を身につけいつでも戦える様な状態でゲームに望む
『ゲームスタート』
暁夜「良かった 裕翔さんと一緒ですね」
裕翔「よろしくお願いします」
暁夜「行こう」
暁夜も陸翔と同じくゲーム慣れをしており裕翔を護衛しつつ道を案内
暁夜「裕翔さん」
ふと暁夜が裕翔を呼び声を出さずにしゃがむことを提示し裕翔もすぐにしゃがむ
陸翔「…………」
裕翔 陸翔さん?
暁夜が指をさした先には陸翔が立っており武器を構えている
「ババババババババババ」
裕翔が陸翔を見ていると陸翔は発砲しだしたが恐らく1発も当たっていない
陸翔「…………」
しかし陸翔は予定通りだったのかその後は武器を持って猛ダッシュし、その後を多くのクリーチャーが陸翔を追って走り去っていった
暁夜「相変わらずやり方が大雑把………大佐らしいけど………」
クリーチャーの気配がなくなったので暁夜が裕翔と一緒に陸翔が撃ったであろう壁を見る
裕翔「奥にビーカーがありますね」
暁夜「ほんと?入れる?」
裕翔「もう少し穴が大きければ入れます」
陸翔は発砲をしていた際壁を丸く撃っていて暁夜がその上から穴を広げ、暁夜も一緒にその中に入ってビーカーの中から人を出す
暁夜「陸也さん 陸也さん!」
ビーカーに入っていたのは先程話に出ていた陸翔の息子の陸也で暁夜が服を着せて起こす
陸也「………暁夜………?」
裕翔「目が覚めました所申し訳ないのですが走れます?」
暁夜が何回か呼びかけると陸也の意識が戻って立ち上がったが裕翔が走れるか?と聞く
クリーチャー「ぐるるるる」
陸也「成程」
暁夜「ちょっ隊長補佐置いて行かないでください!」
陸也がクリーチャーを確認した直後に裕翔を背負って走り出し暁夜も必死にその後を追う
〜30分後〜
暁夜「撒きましたね」
陸也「みたいだな」
凪咲「裕翔」
30分後 クリーチャー相手に撒いた3人は休憩をするために入った部屋で凪咲と合流
裕翔「凪咲 大丈夫か?」
凪咲「大丈夫 走って疲れたからここにいただけ」
陸也「血の匂いがする ちょっと見せてみろ」
陸也がいち早く凪咲の身体が香る血の匂いに気が付き身体を見てみる
凪咲「っ………」
陸也「掠っているだけではあるが相当な血が流れているな 止血剤と回復薬と包帯は持ってるから」
凪咲は武器を持つクリーチャーと遭遇してしまったらしく脇腹をナイフが掠っていた
陸也「痛いか?」
凪咲「少し………でもさっきより大分楽になりました」
陸也「人によって効きは違うが早いやつなら痛みも少しだけですぐ治るから」
陸也の迅速な対応によって凪咲も動けるくらいに回復
陸也「そろそろ行けるなら行った方がいいな ここからなら恐らくゴールが近い」
ということで4人は部屋を出て凪咲を気遣いながら歩き出したのだが………
暁夜「…………」
陸也「…………」
凪咲「…………」
裕翔「…………」
道の途中 大量の血液が床や壁に付着している場所があり、その近くには犬のクリーチャーかなにかに千切られたであろう人の服のない右腕が………
裕翔「………この腕………陸翔さんの腕だ」
千切られていた腕はおそらく利き腕ではないのだが裕翔は陸翔の腕だと判断
陸也「どうして分かるんだ?その腕は利き腕じゃないし指輪をしている方でもない」
裕翔「陸翔さん右手の平に縦の傷跡があるから」
裕翔 俺の背中をさすっていてくれた時にその傷跡があるのが見えた………
裕翔は陸翔に背中をさすられていた時に手の傷跡を見ていたのだ………千切られていた右手にはその傷跡がある
裕翔「でも止血はできてると思う 途中で血痕が途切れてる」
血痕は大量に残る部分から少ししてから途切れており止血をしたことが良くわかる………裕翔は何やら嫌な予感を感じて陸也の腕を引く
陸也「どうした?」
裕翔「嫌な予感がします 行きましょう」
暁夜「凪咲君行こう」
裕翔の真剣な顔に暁夜も賛同して熱の出ていた凪咲を背負って急ぎ足でその場をあとにする
クリーチャー「ガルルルル………」
そこに狼のクリーチャーが群れで来たのを知らずに………
陸也「着いた」
暁夜「クリーチャーに見つかるより先に着けましたね」
亮尚「凪咲君………!」
裕翔「亮尚さん凪咲を頼みます」
なんとかクリーチャーに見つかるより先にゴールにたどり着いた4人は、亮尚に凪咲を任せまだ陸翔が帰ってきていないのを確認して入口付近で待つ
〜数時間後〜
陸翔「…………」
裕翔「陸翔さん!!!」
数時間後 漸く陸翔が入口に入ってきたが至る所から血を流していて右腕もなくほぼ意識がない
「ドシャッ」
裕翔「陸翔さん!!!!!」
暁夜「大佐!!!」
陸也「父さん!!!」
陸翔はゴールに着いたと確認した途端倒れ咄嗟に暁夜と陸也が大急ぎで止血し回復薬を打つ
陸也「父さん………父さん………!」
回復薬のおかげで右腕以外は傷が回復したが意識が戻らない
陸也「父さん………!!」
陸也の必死の声が響く中入口は閉ざされ煙が撒かれてしまう
陸也「父さん!!!」
裕翔「陸翔さん………陸也さん………」
裕翔は陸也の叫び声を聞きながらそのまま睡魔に負けて眠ってしまう………
〜朝〜
陸翔「っう………」
朝 漸く意識の戻った人陸翔は自分がゴールの場所にいて、自分の上に誰かが乗っかっているのを知るが身体に痛みもないので特に何もしない
裕翔「ぅー………」
すると裕翔の目が覚め寝起きが良くなかったのか少し目付きが鋭い(元々目付きが悪い)
暁夜「裕翔さんおはようございます」
裕翔「おはよーうです」
陸也「………おは………」
陸翔「俺の上に乗ってたの陸也か」
声で目の覚めた陸也とその声で自分の上に乗っていたのが陸也だと知る陸翔
陸也「父さん?目が覚めたの?」
陸翔「今さっきな」
陸也「父さん!」
陸也も陸翔の目が覚めたのだと知り陸翔を思い切り抱きしめる………昔の陸翔なら「やめろ」の一言で終わらせるが今はしない
陸翔「あんな別れ方したからな 今は存分に抱きしめていい」
陸也「父さん………父さん」
陸翔「そんなに呼ばなくてもここにいるだろ?陸也」
陸也「父さん………」
陸翔はゆっくり起き上がって陸也の頭を撫でる………
陸翔「こんな所でまた会えるなんてな」
陸翔はそう呟きながらすごく幸せそうな顔をして目を細めているので、本当は誰よりも先に会いたかったのだと察す
陸翔「ゲーム中とは言えこんな嬉しいこともあるんだな」
陸也「父さん………」
陸翔「ここにいるって 陸也」
陸翔は今まで見なかった顔で陸也の頭を撫で続ける………それこそ父親の顔をして………
死別し離れ離れだった親子は漸く再会を果たしたのだ…………
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