第6話
ある時、先生にずっと気になっていたことを聞いた。
「春先生」
「ん〜?」
「なんで先生と生徒って付き合ったらダメなんですかね· · ·」
亀吉のいる水槽をつつきながら、自然に。冷静を装って。
漫画でもドラマでも、教師と生徒の恋愛は禁断の恋で、あってはならないことなのは前提だ。
それが、たとえどれだけ純粋なものだとしても。
私にはそれが理解出来なかったし、現実に好きになってしまっているし。
きっとそう思っているのは私だけじゃないと思うから。
「んー· · ·難しい質問、やなあ。」
うーんと頭を抱えてしまった先生。
だけどすぐに、でもな?と話し始めた。
「· · ·確かに、人を好きになることはええことやし、止められるモンやないっていうのはそうやねんけど、学校の先生っていうのは、また別でな?
野田さんも他の子らもそうやねんけど、親御さんが大事に育ててきはったお子さんを預かって、社会のこととか勉強とか色んなこと教えるのが、僕ら教師やねん。
野田さん達が何も知らんって言うてるわけちゃうねんけど、世間的には、世の中のことをまだ知る前の無垢な子供ってことになんねんな。
そんな子とな?お互いがいくら好き合うてたとしても、恋愛するっていうのは、大人としてアカンってなってんねん。誰がなんて言うても、それはもうそういうモンやねんな?
やから、親御さんからしたらからかわれてるんちゃうかって疑うのは当然でな?
勿論、好きなるならへんは本人らにしか分からんことやから、絶対にそうやとは言えへんねんけどな?
うーん、なんて言うてええのかわからんけど。
ほんまは好きな気持ちは止められへんし、本能的なことやからしゃーないところはあるんやけど。
やっぱり僕らは大人やし、人間やから、理性っていうものがあるやんか?いくら真面目に付き合うとっても、やっぱり大人としてそこは耐えなあかんラインやねん。」
「やから、ホンマに好きなんやったら、大人になるまでちゃんと待たなアカン。」
難しいねんけどな、と呟いて、どこか遠くを見る先生に食い気味で尋ねる。
「じゃあ、春先生は?」
「え?」
「春先生は、私が今我慢したら、私が大人になった時、ちゃんと返事考えてくれます?
私· · ·これでもちゃんと真剣に言うてるんですけど、· · ·ふざけてるように見えますか?」
あなただけを見つめてた。 じゃめ @jameee
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あなただけを見つめてた。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます