『山姥(やまんば)のお婿さん』 ヾ(@°▽°@)ノ

健野屋文乃(たけのやふみの)

綺麗な景色だよね。


この様な事を相談できるのは貴方だけだと思い、

意を決して、このような相談のお手紙をお送りします。



私の嫁は山姥です。

でもこれは、私の憶測に過ぎない話かもしれません。


ただ、奥の部屋には絶対に入らないでとは言われてます。

私が出張から家に帰ると、時々他人が入った気配を感じます。

そんな時は必ず奥の部屋で、嫁とは違う何かの気配を感じます。

嫁が浮気相手を家に連れ込んでいる。と言う憶測も考えられますが、

その何者かが、家を出た気配を感じないのです。


先程から、「気配、気配」と申し上げて来ましたが、

自分で言うのもなんなのですが、私自身繊細な人間でありまして、

そういった気配を感じるのが得意なのです。


私の嫁は、とても気立てがよく美人と言ってもいい嫁です。

表向きは・・・・

いつも一緒にいると、ふっと裏の面が見えてしまいます。

狂気と言うか、人を人とも思わない冷酷な面が見えます。

具体例を書くのは、心もとないので、止めときます。


私が、嫁と最初に出会ったのは・・・

えーと・・あれっ?思い出せない。

えーと・・・あっそうだ、気が付いたら、この家の居間で座っていたんだった。

そこで今の嫁に

「責任とってね」

と。責任・・・それは「男としての責任」私は、そう理解したのです。


こんな話をすると、不穏な生活環境だと思われるかも知れませんが、

こんな状況でも、良い事が起こりました。

娘が生まれたのです。それはそれは可愛らしい娘です。


「おとうちゃま」


と、私のことをそう呼ぶ娘は、

嫁に似て、とても気立てが良く美人と言っても良い娘です。

飼い始めた猫を可愛がる姿は、見ていてとても癒されます。

その姿はとても救いです。


さて本題の相談内容ですが、このような状況で娘が、狂気に目覚めず、

優しい女性に育つにはどうしたら良いでしょうか?


追伸、娘は人間の事を「獲物」と呼びます。


                      

                        敬具





「おとうちゃま、綺麗な景色だよね。でもね、おとうちゃま。

この景色はね、おとうちゃまが秘密を守っている代償に得ているものなんだよ。

おかあちゃまはね、いつも一緒に居てくれるおとうちゃまに、すっごく感謝してるんだよ。

だから、こんな手紙を出して、おかあちゃまを裏切ったらダメだよ。あたしの事心配してくれるのは嬉しいけど・・・・


・・・・この送り主の人が本当に友人なら、おとうちゃんはあんな事にはならなかったと思うよ・・・・


・・・・・簡単な事だよ。おとうちゃまを愛してくれない社会を取るか、おとうちゃまを愛しているおかあちゃまとあたしを取るか・・・」




おしまい

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