現代病床雨月物語    秋山 雪舟(作)     

秋山 雪舟

第9話  「生戦(せいせん)  その3」 ~勝利後に届いた難病認定証~

 死神一派により苦しめられていた私は、ついに2016年の師走に『後門(肛門)の狼』をマリア連合の協力のもと退治しました。手術後は一度も熱が出ませんでした。いままでの体調不良がウソやまぼろしの様に思いました。

 人間とは不思議なもので、体調が改善すると体からエネルギーが湧いてきて次にやるべきことが具体的に考えるようになりました。それは現在通院している病院からの脱出でした。なぜなら、私は血液の異常のために治療を受けていますが体に異常が出るのは血液が通っている体の総てです、血液内科と他の科の連繋がかかせません。今回の件でも泌尿器科と外科(肛門)が関わっています。私は外科の医師により窮地に陥ったからです。また、外科の医師がこの病院の副院長のため今後も危ない橋を渡らされる可能性があるからです。

 私は、担当の血液内科のA医師に今回の件でこの病院を信頼出来なくなったので病院を替わりたいと言いました。A医師は、秋山さんの症例は血液内科医として一度経験するかしないかの症例で私としては治療をしていきたいのですが本人の希望が転院ならしかたがありません。A医師は、I大系のS病院をあげられ、私はK大系のK病院をあげました。そして結果はA医師のあげたS病院に決めました。ちなみに現在の病院はH大系と連繋しています。秋山さん、それではS病院に送るデータを作成しますので外で待っていてください。私と妻(宝雪)は外で待っていました。しばらくしてから中堅の看護師が私たちの前に来てA医師がデータをS病院に送りましたので、もう一度呼ばれるので説明を受けて下さい。その時、妻(宝雪)は病院が拒否することはありませんかと尋ねました。看護師は基本的に拒否することはありませんと応えました。私は安心しました。

 その後A医師に呼ばれデータを送ったのでS病院から返事があれば電話で連絡をしますと言われ家に帰りました。

 次の日の午後、病院から電話がありました。その内容はS病院が拒否したので明日病院で今後の事を相談したいとのことでした。私は、ビックリしました。そして妻(宝雪)があの時看護師に『拒否されないですか』を思い出していました。妻(宝雪)の方が冷静であり彼女の直感にビックリしました。

 私と妻(宝雪)はA医師に会い説明を受けました。A医師は私があげたK大系のK病院にも拒否されたと言いました。その理由は、症例が少なくまた、この病院以上に治療の効果を上げる自信がないとのことでした。

 私はA医師に両病院から拒否されたならば仕方がありません。いろいろありましたがA(医師)先生、今後もよろしくお願い致します。ただA(医師)先生、今後も治療するにあたって私は今回の事で血小板がすごく減ったので国に対して「特発性血小板減少性紫斑病」の難病申請をしたいので御協力を御願いしますと言いました。A医師は解かりました。しかし秋山さんは白血球減少と好中球減少なので必ず申請が認定されるとは保証出来ませんがいいですかと私たちに聞きました。その時、妻(宝雪)がそれで結構ですと即答しました。その後、私と妻(宝雪)はA医師が作成した「臨床調査個人票」を携え難病申請をしました。結果は3ヶ月後と市の保健所の人に言われました。

 それ以降の私は、月2回の診察を受けていました。しかし一向に血小板の数値が上がりません。手術前の輸血では7万以上に上がったのですが12月末には2万8千になりました。年が明けた2017年の1月は1万5千、2月は1万8千になってしまいました。

 担当のA医師は、このままでは入院治療しなければなりません。そして1万以下になると危ないですと宣告されました。

 そして3月になり、その月の中旬に「特定医療費受給者証」が届きました。私は国から「特発性血小板減少性紫斑病」と認定されました。これからは、難病との生戦(せいせん)が続くことになります。

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現代病床雨月物語    秋山 雪舟(作)      秋山 雪舟 @kaku2018

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