【オペラ版】『ラグナロクの巫女 ヴォルヴァ』×『ヴァルキュリユルとフレイヤさま』

@GREAT_KUMA

第1話 冥府で歌うもの

 全てが闇に沈んだ空間。

 一度・差し込んだが最後、光りまでも抜け出せそうにない黒一色の世界に清冽な声で歌うものがいた。

はだめられぬ ゆびさきまできざしがふくまれぬ」


にせる巫女みこよ』


みみおくにてかそけふるえり さいなめるもかまびすかるだけになし」


ちからせよ』


何時いつなつかしき音色ねいろ


『ヴォルヴァよ 目覚めざめよ』


「しじまををかしてむかし仕掛しかけし復活ふっかつ祝詞のりと


にせる巫女みこよ』


長夜ながよそら化粧けさうずるひかりがとばしりて せてはかへす みだれらるるおもひが せてはかへすかし」


『ヴォルヴァよ われちからせよ』


こころ周波しゅうはかへしたるや はませたるなみごと 無数むすう生起せいき無窮むきゅうきざむ」

ときながれは無慙むざんなり」


御前おまへ予言よげんちからこそたよりなりけれ』


とほ追憶ついおく 忘却ぼうきゃくせらるる彼方かなた 恒星こうせいまれて悠久ゆうきゅうまたた活動かつどうへぬるにひとしきがりたるやもあらむずらむ」


かた御子おこたすくるために』


「わたしはべてをうしなひぬ」


よみがへれ ヴォルヴァよ』


たざらむずるおもひにこころくだけなむ」


復讐ふくしゅうためもよし』


ひたきばかりにくるひて仕舞しまひなむ 辿たどるべき軌跡きせきなどたざれど でて仕舞しまひぬるがまりあいだてなし おのれ何者なにものかとてかれず」

しかれどもむねりなむとせる悲哭ひこくだけはきせじ」


往昔わうじゃく御前おまへにもむすめにけり』


「あなし おぼろながらもしかたりがのこりにけりな に ゆびに うでに むねに ひとむすめのよすがが いとほしきわたしの希望きぼうが」

むすめ何処どこるやらん」


御前おまへむすめにけり』


にくかるがむ くろらるる感情かんせいが そこはかとなくげぬ」

「あないみじ いとほしきむすめうばはれたり」


たるべきために』


おぼえのすみ墓穴はかあなうづまれしたま残骸ざんがいむた今今いまいまぐべし われ運命うんめいかるるむべき五文字ごもじのルーンを 一文字ひともじたりとてたがはずめて 字義じぎをもみて」

「いきにわがする」


ちからたまへよ』


Vヴェーöォエlエルvヴェーaアー…… がわたしにあたへられしルーンよ」


よみがへりしヴォルヴァよ』


したふのとにくむのと 目眩めくるめきて かなしむまでをしぬ なれば波打なみうからみてあやれ あらば深淵しんえんなる真理しんり近付ちかづけり」


御前おまへ御前おまへために』


復讐ふくしゅうひとしき希求ききゅう一欠片ひとかけらのみ亡魂ぼうこんりぬ」


われつかへるあるじ御子おこために』


ことせたれば全身ぜんしん血液けつえきはげしきをしたり 鼓動こどうかんぜらる 符牒ふちょう満場まんじょう一致いっちせり」


ふる神々かみがみはらせて』


「わたしはヴォルヴァ 終末しゅうまつ見届みとどけんとほっする巫女みこなり――」


あたらしき時代じだいにな子供こどもために』


「ヴォルヴァ れがわたしにあたへられしあざな


ななり れが御前おまへあたへられし役割やくわり


「わたしの宿世すくせかな」


御前おまへ宿世すくせかな』

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