第2話 魔法について

3歳になった。

あれからもう3年なったのかと思うと時間の流れがはやく感じる。

あっという間の3年間。

その中でも驚いていることがある。


それは、子どもは成長がとても早いことだ。

体の成長や言語理解度、何をしても覚えがはやい。これじゃなんでもできるんじゃないかと錯覚してしまう。


話すことも、前までは「あー」「うー」などしか話せなかったが、2歳くらいから急に流暢に話すことができるようになった。

この生活に特に不満もなく、とても楽しい毎日を送れていた。


他にも楽しいことがある。

魔法と剣術の指導を受けれることだ。

これだけはどうしても気分が高ぶる。

しかし、1つ注意しないといけないことがあった。


この世界では3歳未満の子どもは魔法には触れてはならないと言われており、その禁忌を破ると厳重に処罰されるというルールがある。


どうして破ってはいけないかはわからないが、父と母はこの事を何度も口にしていたから大事なんだろう。


そして、今日は待ちに待った魔法を習える日。


「エイド、早く準備しないと置いてくわよ!」


リリスは一足先に外に出ており、早く行きたそうにうずうずしている。


「リリスお姉ちゃん、お待たせ」

「遅いわよ! もしかしてそれ...」


エイドの右手には長い木の棒のようなものが握られている。

リリスはまさかと思いながら聞くとエイドは「杖!」と満面の笑みで答える。

考えが的中し、気張っていた力が抜けるリリス。

恥ずかしいから捨ててと言うリリスとそれを拒絶するエイド。その2人のやり取りを見ていたエリスが「卒業したら師匠からすごいプレゼントが貰えるから」と宥められ、仕方なく捨てにいく。


ばいばい、僕の杖1号。


ただの木の枝にここまで思い入れがあったとは自分でも思わなかったが、お前のことは忘れないからとたった数分の出来事を心に刻むのであった。



―――

――――――


数分歩いた所に小さい小屋があった。周りには木々が多く、何か雰囲気のある。そこ中でつばの広いトンガリ帽子を被りローブで全身を覆っている20代くらいの女性とその女性を囲うように子どもたちが話を聞いている。

あの人が先生なのかな?と思っているとリリスは「せんせー!」と手を振りながら小走りで走っていく。

ついて行っていいのかわからず、見送った僕はどうしたらいいのだろうか...。

少し離れたところで見ているとリリスと先生と呼ばれている女性が近づいてきた。


「ヒューネさん、弟のエイドよ!」

「エイドくんね。私はヒューネと言ってここで魔法を教えています。今日から一緒に勉強していきましょう」

「よ、よろしくお願いします」

「そんなに固くならなくて大丈夫ですよ。魔法は自分のことを教えてくれますから!それじゃ、始めますので皆さん集まってきて下さい」



―――

――――――


ヒューネ先生の授業はわかりやすかった。

まず、魔法とはこの世界を形成するもので、秩序を守るためにあると言われているもの。

逆に魔力は、魔法を使用するために必要な力で、この世界に存在する全ての生き物が体内に宿していると言われており、魔力が高ければ高いほど優遇されること。

他にも属性やら術式などの説明を話してくれたが、情報量の多さに僕の頭はオーバーヒートした。

それに気づいたヒューネ先生が「休憩にしましょう」と提案してくれて助かった。


それにしても3歳児にこんな話をしても理解できるのだろうか...。

でも、話を聞くあとと聞く前では少し違ったから意味はあったのかな。

魔法の危険性や魔力の暴走もあると言っていたし、奥が深そう。


休憩の後は待ちに待った魔法訓練なので気合を入れ直していこう。

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