東四局
「オゥ! 北岡サンのパパさんデスカ? ヒック。シャンディ・ジェーリーと申しマース。北岡サンにはいつもお世話になってマース!! ヒック」
「こちらこそ、いつも娘の
「任せてクダサーイ!! ヒック。私が北岡サンを貰いマース! ヒック」
「ちょっと、シャンディちゃん」
「娘を宜しくお願いします」
「ちょ、お父さんまで!」
「…… (誠一? ………人違いか。だが、あの娘さんの麻雀は明らかに
『酒は~~飲んでも~~』 『呑まれるな~~』
「マスターいつもの頼むよ……お!」
「あ、ワイも……って、ひめちゃん達やないか!」
「あ、田中さんに木村さん」
「美女三人とご一緒できるとはイイねぇ~~」
「山野はんも隅に置けんなぁ」
「オゥ! ヒック。あの時、ワタシたちにエロい目で見ていたオッサンたちネ!」
「ガハハハハ。バレてたか」
「ハハハ。出来上がっとんなぁ、ネェちゃん」
「イエース!」
「はぁ、全く。『日本のお酒ジャ酔えマセーン。
「それじゃ、ワシが介抱しなくちゃな」
「田中はん?」 「田中さん?」
「ガハハハハ。冗談冗談」
「…………マスター、いや誠一さん。今から一半荘打って頂けませんか?」
「今からですか」
「先輩?」「ふにゃ?」「え?」
「なんやなんや、今から打つんか」
「ガハハハハ。面白いねぇ、山野くん」
「はい。勿論、タダでとは言いません。この場の飲食代は私持ち。それに誠一さんが私より順位が高ければ倍払いましょう」
「しかし、貴方に何もメリットが無いのでは?」
「誠一さん。そんなの打つ前には不要な思考ですよ。損得のある勝負など望んでいませんから」
「………ふふふ、面白い人ですね。分かりました、お受けします」
「有難うございます。では早速、座楽に」
「山野さん、結構ですよ。こちらへどうぞ」
「え?」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「カウンター裏に部屋があるなんて」
「ホンマやで」
「お、これ。しかも最新の卓じゃないか」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「はぁ。全く、男の人は勝手ね」
「申し訳ありません」
「あら、姫川さんが謝ることじゃないでしょ」
「でも」
「ふふふ、別にいいの。お父さんのあの顔見たら少しぐらい待ってもいいかなって思っちゃったし。それに、膝を貸してる彼女を起こすわけにもいかないしね」
「すぴー。むにゃむにゃ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「ルールは座楽のアリアリルールでええんやな」
「はい。皆さんそれで宜しいですか?」
「おう」「はい」
「そんじゃ、始めっか。ワシの親からだな」
「…… (これまでのアガリは木村さんの2600。田中さんの1600。そして東三局。マスターの親か。一体どんな麻雀を見してくれるんだ)」
「……」
「(河的には手成り……平和系か。欲しそうなのは筒子の上目か萬子の下目。よし、聴牌。索子の一、四待ち。平和、ドラ。一旦様子見てダマるか。いやここは) 立直 (攻める!!)」
「お、早いな」
「いや~敵わんわ」
「……」
「(手牌から出たか。空切り、いや回ったのか。んな事関係ない自摸ればいい。…… 一発は無しか)」
「……」
「(また、手牌から。抱え込んだのか? いや違う、回してる。どうなるんだ)」
「……」
「(山にあるハズだ。自模れ! 掠ったか)」
「ロン。3900」
「な (嘘だろ。萬子の清一色崩して当たり牌をビタ止めかよ)」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「うえっぷ、気持ち悪いデース」
「え、大丈夫? 姫川さん、袋取ってきてもらえる?」
「は、はい」
「大丈夫デス。トイレ行きマス」
「じゃあ、私が」
「一人で大丈夫デス」
「一人でって」
「北岡サン。私、音聞かれたくないデース」
「で、でも」
「じゃあ、ドアの前までお願いしマス」
「え、えぇ」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「(……強ぇ。娘さんも強かったがそれ以上だ。この人には何かがある) 流石ですね」
「いえいえ、偶々ですよ」
「偶々ですか (……んなワケねぇよ、嘘が下手だぜ)」
「こりゃ、面白いモンが見えるかもしれへんなぁ。田中はん」
「あぁ。こんな間近で熱い闘牌が見れるんだ。来て良かった」
◇◆◇◆◇◆◇◆
「北岡サン。有難うございマス。ここで大丈夫デス」
「本当に大丈夫?」
「問題ないデス」
「そう? じゃあ外に居るから何かあったら言ってね」
「はい、有難うございマス……………ふぅ」
――――――――――ピポパ
「…………もしもし、私デス。誠一様が素性を明かされマシタ。以前から調査対象だった
フリーター雀士の日常 せみの ゆううつ @seminoyuuutu
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