舞台は近未来の地球。
仮想現実空間のオンラインゲームをプレイするのが好きな少年、ヨリトモは「スター・カーニヴァル」という新しくサービスが始まったゲームに参加する。
それは「カーニヴァル・エンジン」という巨大人型兵器で宇宙空間で敵の軍隊と戦闘をする設定のオンラインゲームだったが
「定められた時間制限を守らなければプラグ(アカウント)を消される」
「普通のゲームなら安全区域である母艦にも敵が攻め込んでくる」
などどことなく不穏な雰囲気が漂っていた。
そんな中、主人公ヨリトモに与えられた機体はアーキタイプの量産型ではなくたった一機の高性能レア機体「ベルゼバブ」。
初の戦闘でもその機能を使いこなし大活躍する主人公だが、実はこのゲームには秘密があって……?
ごく普通の少年がゲームをきっかけにロボットに乗って宇宙空間で活躍する王道SFロボット作品です。
読みやすく近未来や仮想空間の情景も明快に描かれています。
特に作りこまれたSF設定や戦闘描写が読んでいてぐいぐい引き込まれるので、最後までスムーズに読み切ることができました。
VR空間で行われる、戦争ゲーム。
現実さながらの臨場感と爽快感に、それがあくまで虚構であるという安心感。
ゲーム内の設定や世界観、マシンの駆動などのソリッドな部分はもちろんのこと、そうしたゲームにハマる人の心理状態の描写にもリアリティがあり、気付けばどっぷりとこの物語に浸かり込んでおりました。
だからこそ、この『ゲーム』の真実が明かされた時の衝撃は凄まじく、思わず背筋がゾッとしました。
あぁ、あり得るかもしれない、と。
戦闘描写や、時おり差し挟まれる現実の日常描写もテンポが良く、全体的にスピード感があります。
とても面白かったです。続編も楽しみにしております。
「ところで、大竹さん。テレビ放映日時はいつですか?」
読了後の正直な感想です。
いやもう、これ。書籍化とかじゃないでしょ。映像化でしょ。動くベルゼバブを観ないとあかんでしょ。動くビュートを観て「やっぱ、可愛いな」と思わなあかんでしょ。
そんなことをずーっと考えていました。
この小説の舞台は、VRゲーム空間。
主人公ヨリトモは、そこで鋼鉄の騎士に乗り込み、敵を狩るゲームをしていたわけです。
ええ、あくまで『ゲーム』を……。
これ以上はネタバレになりますので、口を慎みますが。
とにかく全編を通して思うのは、「カッコいい!!」ということ。
カーニヴァル・エンジンと呼ばれる機体しかり、その機体の動きしかり、武器しかり。
よく作り込まれたプロットだからこその細部描写や、よく観察しているからこその動作表現にただただ、脱帽です。
本当に毎日更新が楽しみでした。
「ここに面白いSF作品がありますよ! ミリタリー好きならなおさらですよ! 空中格闘シーンは圧巻ですよっ」
そう言いたくてレビューを書いたんですが、あんまりうまく表現できなくて申し訳ない。ここでも自分の筆力の無さがうらめしい……。
いや、本当に面白かったです。
そして、この小説の続きがまた読めるということが、とても嬉しい。