第4話 第三話

俺と昨日案内してくれた女性はバカでかい村はずれの荒野に来ている。荒野には所々に特別な鉱石などで作られた訓練用の案山子が置かれている。


「じゃあ、始めよっか」


俺は勢いよく返事をする。


「じゃあ、まずは初級の火魔法からやってみようか」



俺は手渡された魔法書に乗っ取って、魔法の授業を進めていく。


数分後…


「「どうしてできないんだろう?」」


二つの声が同時に重なる。


先ほどからずっと魔法書をみて、その通りに魔法を使おうとしているが、一度も魔法は発動しない。魔法書の最初のページに書かれている『日常魔法』と呼ばれるのはできるのだが。

俺が覚えた日常魔法は、指先に魔力を込めて空中に文字を書く『ライティング』という魔法と、自分の付近の物の重さを変える『ウェイト』という魔法だ。『ウェイト』の魔法は、俺の場合は魔力がありすぎて軽くすると重さをゼロにすることもできた。


「レイエムちゃん、少し休憩しようか」


俺が全然魔法が使えないために少し休憩を取ることにした。


休憩時間は覚えたての『ライティング』の魔法でお絵かきをする。まずは猫ちゃんだ。次にどら〇モンかな?最後には大好きだったアニメキャラクター。まあ、絵は上手くないから猫とかは犬とのキメラのように見えるのだが。

やっぱり俺は絵より文字を書く方が得意だな。俺はふと思い出して転生前の名前を書いてみる。


【橘 瑞樹】


書き終わってみると、文字を書いたはずの所には一人の男が全裸で立っていた。どこかで見覚えがある。


「あ~、これ俺だわ。って、え~!」


俺の大声を聞いてシスターさんが走って向かってきた。これはバレちゃいけない気がする。俺は急いで を近くの草むらに押し込む。


急いで駆けつけてきたシスターさんは上手くごまかせたが、こいつをどうにかしないといけない。


草むらに押し込んだこいつは地球の頃の俺にそっくりだ。身長から顔も何から何までそっくりだ。服を着ていないから確認できるが、あそこの大きさも同じである。

それにしても寒くはないんだろうか?今の季節は秋の初めで少し肌寒くはある。それにこいつは一切声を出していない。もしかするとそこらへんに立っている案山子と同じなのではないだろか。


「おい、俺」


しかし、声をかけたそこには誰も立ってはいなかった。

俺はもう一度『ライティング』で文字を書く。


【橘 瑞樹】


すると、俺の目の前に先と同じ地球の頃の俺が出てくる。

俺は続けて【水】と書く。


ドザァーーー


この効果音の通りに空中から水が溢れ出てくる。地球の頃の俺を流しながら。

辺りの草花をさらう様にして流れていく大量の水は止まることを知らずに、最終的には荒野全体を水浸しにした。



まぁ、荒野が水浸しになったらそりゃ大騒ぎなわけで。シスターさん達が大慌てで抱えつけて来た。

まぁその後はこってり怒られてましたが。



そして、なんやかんやありまして、俺は学園に行くことになりました。

まぁ、学園に入学できるのは6歳からなので、それまでは教会で知識の勉強だ。


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異世界カンジー 因幡 天兔 @Rabbit_usagi

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