引力と重力

 よく耳にする言葉ですが、「(万有)引力universal gravitation」と「重力gravity」の違いを説明できますか?


 簡単に言えば、引力とは「物質(質量)同士がき合う」、重力とは「天体上のさ生む」であり、「天体上のものの重さ」です。私たちが普段「ものの重さ」として感じているのは、地球と物体の間に働く引力とその物体に働く遠心力の合力なのです。「体重を軽くするには?(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054886810506#end)」でも説明しましたが、遠心力は回転中心からの距離に比例するので、場所によって異なります。もちろん、異なる天体であれば重力も異なります。「月の重力は地球の6分の1」なんて言うでしょ?



 万有引力といえば、アイザック・ニュートンですね。彼が記した『自然哲学の数学的諸原理』において、ケプラー方程式から万有引力の法則を導き出しています。よく勘違いされるのが、ニュートンが導き出したのは万有の法則であって、重力の法則ではないのです。

 また、ニュートンが『リンゴが落ちるところを見て法則を発見した』という逸話がありますが、個人的には後付けの話だと感じています。だって、落ちるのはリンゴだけじゃありませんからね。コップはテーブルから落ちるし、樹から葉っぱも落ちます。リンゴが落ちるのを見てようやく気が付いたとしたら、すこしお間抜けさんですよ。まぁ、ニュートンの家にリンゴの木があったことは確かなようですが。


 ニュートンといえば、単位にもなっています。記号は「N」で力の大きさを表す単位です。1Nニュートンは、1キログラムの物体が標準重力加速度のもとで受ける重力の大きさと定義されています。理系の大学に入ると昔は「1kgf(キログラム重)」なんて単位(1kgf≒9.8N)を覚えさせられましたが、今はNで統一されているようですね。

 あ、標準重力加速度っていうのは、地球の地表近くで物体が受ける加速度のこと。重力は常に作用し続けているので、物体は加速して動きます。静止している物体にもかかるのでイメージしにくいかもしれませんが。


 それはさておき、ニュートン力学の第二法則として知られる万有引力ですが、この法則は状態を表しているだけに過ぎず、「なぜ物体に引力が生まれるのか」を説明するものではありません。引力がなぜ生まれるのかについては、未だ解明されていないのです。素粒子力学における四つの相互作用のうち「重力相互作用」を引き起こすとされる│重力子グラビトンが関連しているとも考えられますが、確認されたわけではありません。│重力子グラビトン自体が仮想の存在ですから。

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