さらば、国際宇宙ステーション

 2022年2月1日、NASAは国際宇宙ステーションISS事業を2030年まで延長すると発表しました。


NASA Provides Updated International Space Station Transition Plan

https://www.nasa.gov/feature/nasa-provides-updated-international-space-station-transition-plan


 元々2025年以降は「どうするよ?」的な状態でしたが、NASAはアルテミス計画で建造予定の月周回ステーション「ゲートウェイ」が完成するまで期限を延ばしたとみてよさそうです。民間の宇宙ステーションという話も出てきていますが、10年前にあった「宇宙ホテル」構想も未だに実現していませんし、先行きは不透明です。ビジネスとして考えた場合、人や物を軌道上まで持っていくコストが膨大で、いけたとしても極々一部の富裕層のみになるでしょうし、そうなると市場規模は小さく、短期間で儲けて逃げるというスタイルになる危険性もあるでしょう。


 さて、一部ニュースなどでは、2030年にISSを地球に落下させると報道されていますが、上記リリースの中では、2030年以降の予定については触れられていません。ISSは徐々に高度を落としているので、そのまま放置してもやがて大気圏に突入することになりますが、それだとどこに落ちるか分からないので、コントロールしながら安全な場所に落とすことになります。当初からその計画でしたし。それよりも、2030年まで使うとするなら、どこかで軌道を上昇させる必要があるでしょうね。


 ところで、Netflixで配信されている「地球外少年少女」というアニメ作品の中で、ISSの日本モジュール「きぼう」の一部が登場します。民間の宇宙ステーションに、「きぼう」の一部が使われているという設定ですが、機械には耐用年数というものがあるので、現実に民間ステーションに再利用されるとしても、メモリアル的な展示物としてぐらいしか利用されないでしょう。耐用年数といえば、テレビのコメンテーターが(ISS)の利用期間が短いみたいなことを行っていましたが、ISSの完成が2011年7月ですから、およそ20年運用されることになるわけで、一般的な人工衛星の耐用年数から考えるとむしろ長く利用されていると思います。 


 余談ですが、「地球外少年少女」には、「スマート」と呼ばれる皮膚に直接印刷するデバイスが登場します。旧型のスマートはシール式で、これは今まさに理研・東大で研究されているデバイスの発展系です。現在は電子回路を印刷するだけですが、微細な発酵素子を印刷で定着させることができれば、劇中のように画像を表示させることができる様になるかも知れません。そう考えると、「地球外少年少女」は現在の科学が発展した先の未来を描いたドラマと言えるでしょうね。


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