DARTミッション開始


 以前、「はやぶさ2と惑星防衛(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054892310049)」でも名前だけ触れたDART(Double Asteroid Redirection Test)ミッションのための探査機が、2021年11月23日午後10時21分(現地時間)にカリフォルニア州ヴァンデンバーグ基地から打ち上げられました。

 DARTミッションは、探査機を小惑星に衝突させて軌道が変化するかを確認する壮大な実験です。「はやぶさ2」で検討されたアイディアは、探査機2台で片方をぶつけてもう片方がそれを観測するというものでした。予算の関係で、実現はしませんでしたが。


 今回、DARTが目指す小惑星は、直径約780メートルのディディモス――の周囲を回っている、ディモルフォスと名付けられた直径約160メートルのムーンレット(小惑星などを周回する小型の衛星)です。DARTは、来年9月26日から10月1日の間に約6キロメートル/秒の速度で激突する予定です。激突前にLICIACubeというキューブサットを放出、激突時の様子を観測します。


 探査機をぶつけて小惑星の軌道を変えることができるか? というポイントが実験の主目的ですが、その他にもキセノンエンジンや長距離の自律飛行などの新しい技術の検証も行われます。


 以前にも書きましたが、個人的には探査機をぶつけたくらいでは軌道を大きく変化させることはできないでしょう。たとえば、地球に接近している小惑星に飛翔体をぶつけ、地球との衝突を回避する、なんてことはまず無理でしょうね。よほど質量の大きなものか、すでに小惑星が持っている慣性をうまく利用できれば別ですが。そのためにも、地球に衝突するかなり前に小惑星を発見する必要があって、それもかなり困難を伴います。

 とはいえ、地球に衝突する小惑星が絶対にないとは言い切れませんから、こうした惑星防衛の技術はドンドン試して安心できる技術を確立して欲しいものです。


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