スペースX社のStarlink
比較的インターネット環境が整っている日本にいるとなかなか想像しにくいのですが、世界的に見るとインターネットの普及率は60%に届いていません(2019年時点)。やはりネックとなっているのは、地上設備でしょう。
日本も1990年代から、国策としてFTTHを推進してきた経緯があり、ようやくその恩恵が得られるようになってきたと言えるでしょう。なにしろ昔は、音響カプラを使ってビーガーピーガー、それがモデムになってISDNが登場してテレホーダイで……。
そうした状況を変えようとしているのが、イーロン・マスク氏のスペースX社――以前「クルードラゴン、ISSへ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054897963491)」の会社です――が計画する、人工衛星を使ったインターネットサービス「Starlink」です。
Starlinkは、最終的には一万基以上の人工衛星を軌道上に配置し、世界中どこからでもインターネットが利用できることを目標にしています。Starlinkのサイト(https://www.starlink.com/)によると、小型で比較的安価なStarlink衛星を上空550キロメートルという低軌道(ISSより少し高い程度)に配置、それよりも高い高度千キロメートルの軌道にも人工衛星を配置する計画です。実現すれば、周りに島がないような海でも、アフリカ大陸のど真ん中でもインターネットを利用できるようになります。
とはいえ、良いことばかりではありません。
インターネットの普及率が向上するということは、前回(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054911583277)言及したIPv4の枯渇が、深刻になるでしょう。日本の場合、ルーターさえIPv6に対応していれば、それほど移行は難しくないはずですが、レガシー的なものがたくさん残っているとそれが足を引っ張ることになるかも。
もうひとつ、切実な問題として世界中の天文学者が懸念しているのは、光害問題です。機体や太陽光パネルが太陽の光を反射してしまうことが考えられ、それがかなりの数になるわけですから地上からの天体観測に影響がでる可能性が高いのです。
SpaceX社でも、今年六月に打ち上げたStarlink衛星のうち、一台を日除けを付けた「VisorSat」とすることで効果を確認しています。個人的には、これで解決とはいかないと思います。
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