　久しぶりの投稿です。

　新型コロナの影響で、生活が激変してしまいました。今なお不安定ですよ。

　それはさておき。

　新型コロナウィルスの蔓延によって、ウィルスの防除に関心が集まっています。一時期はアルコール消毒薬だけじゃなく、ウエットティッシュやハンドソープまで品薄になっていましたね。各メーカーも、そうしたニーズに合わせて、除菌を謳う製品を出しています。

　その中に、「空間除菌」というキーワードで売っているものがいくつかあります。言葉から受ける印象は、置いておく（あるいはスプレーする）だけで、空間内にあるウィルスや菌を殺してくれるというイメージでしょう。空間除菌で扱われる化学薬品は、二酸化塩素や次亜塩素酸が有名です。簡単に言ってしまえば、どちらも消毒薬です。

　「消毒薬なら、空間に漂っているウィルスを殺してくれるねっ♡」と思うかも知れません。でも、それはどうでしょうか。

　新型コロナが登場する前から、空間除菌を謳う製品はありました。しかし、2014年3月には、消費者庁が「二酸化塩素で空間除菌できる」といううたい文句には根拠がないと措置命令を出しています。

　メーカーが提示している効果の根拠は、「閉鎖空間で一部のウィルスや菌を除去した」という調査結果です。しかしながら、これは実験のための特殊な環境であり、実際の使用状況に即したものではありません。いわゆる「実験室レベル」のお話なのです。その後もメーカーは、実際の環境で効果があったとするエビデンス（証拠）を提示することが出来ていません。これは次亜塩素酸に関しても同様です。

　また、WHOは消毒薬の空間噴霧をいかなる状況でも推奨しないとしています。詳しくは厚生労働省の特設ページ、

「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

をご覧ください。

　まぁ、単純に考えても、菌やウィルスが死ぬような濃度の消毒薬が、人体に影響しないわけがないのです。感染防止には、空間を除菌するより、こまめな換気が効果的でしょう。ただ、空間除菌は効果がなくても、物体の表面についたウィルスや菌の除去には効果があることは、さまざまな調査で明らかになっています。

　正しい知識で、感染予防しましょう。