生命はどこから来たのか

 隕石から、糖分子が発見されたそうです。

 

 東北大のプレスリリース

 生命を構成する糖を隕石から初めて検出

  ―宇宙にRNAの材料となる糖の存在を証明―

 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2019/11/press20191115-01-RNA.html


 東北大学、北海道大学、JAMSTEC、NASAの共同研究によって、RNAを構成する糖分子、リボースが見つかったという発表です。このニュースを聞いてまっさきに思い浮かぶのが、「パンスペルミア説」です。パンスペルミア説とは、簡単に言えば「生命は地球で誕生したのではなく、宇宙からやってきた」とする仮説です。たとえば、微生物が付着した小惑星が地球に落下し、生物の起源となったのではないか、という考えです。SFでは、割とメジャーな説ですね。

 面白いのは、定常宇宙論を支持しビッグバン宇宙論を否定していたフレッド・ホイルも、パンスペルミア説の支持者なんですね。ビッグバン宇宙論については、以下のエピソードをご覧下さい。


 はしやすめ ~宇宙論小話~https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054886524906


 隕石から糖分子が見つかったということは、このパンスペルミア説の強力な物証になるかも知れません。


 また、JAXAの宇宙科学研究所ISASも次のようなリリースを出しています。


 ジャコビニ・ツィナー彗星から複雑な有機物由来の赤外線輝線バンドを検出

 http://www.isas.jaxa.jp/topics/002280.html


 こちらは、彗星に有機物がありそうという話。誕生直後の地球は、マグマオーシャンと呼ばれるように、マグマで覆われた火の玉状態でした。それが時間をかけて冷えていく過程で、彗星など水(氷)を持った天体が地球に降り注いだことで、現在のような海ができたと考えられています。彗星に有機物があれば、地球の海にも最初から有機物があった可能性が高くなります。


 これらの発見が、直ぐにパンスペルミア説を確定させるものではありません。裏付けとなる観測が、今後もまだまだ必要です。国際宇宙ステーションISSでの「たんぽぽ計画」とか、「はやぶさ2」が持ち帰る予定の小惑星リュウグウのサンプル、NASAが打ち上げたオシリス・レックスOSIRIS RExが持ち帰るサンプルなども、パンスペルミア説の裏付けになるかもしれません。


 ただし、隕石に生命の元があったとして(パンスペルミア説が真実だったとして)、それは生命の起源が地球であるとする説を否定するものでもないのですよ。つまり、地球の生命は地球と地球外のハイブリッドという可能性もありますし、地球のどこかに宇宙由来の生命が存在するということかもしれません。



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KAC2020用に【出張版】を書きました。内容は一部重複しています。

よろしければ、こちらもご覧ください。

・宇宙に種を蒔く ~パンスペルミア説

https://kakuyomu.jp/works/1177354054894596980/episodes/1177354054894596992




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