見えないブラックホールが見えた!

 2019年4月10日、イヴェント・ホライゾン・テレスコープ(EHT)国際チームによって、となるブラックホールを捉えた画像が公開されました。ブラックホールは、アインシュタインの相対性理論によってその存在を予言されていた天体で、SF小説などでは定番のガジェットだったりします。なにしろ、光すら逃げ出せないという特徴だけでもいろいろなネタに使えますからね。前に書いた「スウィング、スウィング(https://kakuyomu.jp/works/1177354054885557884/episodes/1177354054888691044)」でも、ブラックホールを使ったスウィングバイにちょっとだけ触れていました。


 いまさらという気もしますが、ブラックホールについて簡単に説明すると、重い(質量の大きい)恒星のなれの果てです。我々の太陽も、五十億年後には赤色巨星になると考えられていますが、ブラックホールにはなりません。太陽がブラックホールになるためには、8~10倍の質量が必要と言われています。この時点で途方もないですが、今回撮影されたM87銀河の中心にあるブラックホールの質量は、太陽の65億倍だそうです。うーん。


 でも、ニュースを聞いて不思議に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか? 「あれ? ブラックホールって見つかってなかったっけ?」と。

 そうなんです。すでにブラックホールと思われる天体はいくつも見つかっています。有名なものに「はくちょう座のX-1」があります。ただし、これらの天体は、放射されるX線などからブラックホールと考えられている天体で、確認されていたわけではないのです。そもそも、X-1がブラックホールだと考えられている理由は、X線の放射もありますが、パートナーともいえる恒星「HDE226868」の動きにもあります。HDE226868自身、太陽に比べて30倍も重い恒星なのですが、スペクトルを観測すると相手(X-1)に振り回されていることが分かったのです。そんな重い天体を振り回しX線をバンバン放射している天体なんて、ブラックホール以外ありえないだろう、ということなのです。


 今回の画像で、光すら逃げ出せない天体の実在が証明され、重力レンズ効果も確認されました。でも、まだ分からないことはたくさんあります。一番気になるのは、我々の住む銀河系の中心にあるブラックホール「いて座A*」のことです。近い将来、「いて座A*」の画像を見ることができるかもしれません。


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