小型ロケットが求められるのは

 ISTがMOMO3号機の打ち上げに成功しました。日本の民間企業がビジネスとしての小型ロケットに道を拓いたことは、ひとつのエポックだと思います。世界的に見ても、小型ロケットのニーズは高まっています。数年前から“キューブサット”を初めとする小型衛星が、毎年千台のオーダーで打ち上げられています(打上げが少ない年は当然台数も少ないのですが)。2019年1月に打ち上げられたイプシロン4号機にも、キューブサットが搭載されていました。あの打上げは、平成時代のことなんですねぇ……。


 安い衛星を安いコストで(すばやく)打ち上げることができるようになれば、たとえば災害時の被害状況確認・監視、あるいは人工流星、広告等々、ビジネスチャンスも広がるというものです。あー、ガンプラ飛ばすというのもありますね……あれはISSから射出するみたいですが。ただし、ISTのロケットをビジネスベースに乗せるまでには、さらなる努力が必要になるでしょうね。


 さて。ここからは余談。

 ISTのロケットが比較的低コストであることを持って、JAXAのロケット(H-2A/Bやイプシロン)が高い、という人がいます。これは浅慮というか、知識不足、勉強不足な考えですね。ISTのロケットとJAXAのロケットでは目的も基準も違います。


 かつて、宇宙開発事業団(NASDA)時代に、H-2が2台続けて失敗したことがあります。その時のマスコミの叩きぶりといったら! 失敗しないためには、冗長性や信頼性を上げなければならず、どうしても高コストにならざるを得ないのです。とはいえ、H-2A/BはJAXAから三菱に移管されていますので、以前のような「血税を無駄にした!」といった論調はないと思いますがね。それに、H-2A/Bも打上げを重ねていけば、少しずつコストダウンできるはずですし、そもそもイプシロンは、できるだけ低コストで打ち上げられるような設計を目指しています。それでも日本の宇宙開発は、一種の呪いに掛かっていると言っていいかもしれません。もう少し、寛容になってもいいのではないでしょうか。

 


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