さくらのドレス
PURIN
さくらのドレス
ふんわり
風にのってさくらの花びらがとんできた。
手をのばしてつかまえた。うすいピンクで、とてもきれい。
そうだ、これをいっぱいあつめて、だいすきなあの人にドレスをつくってあげよう。
びっくりさせて、よろこばせてあげよう。
たくさんのきれいな花びらでできたきれいなドレス、あの人にぜったいににあう。
公園におちていた花びらを両手いっぱいにかかえてもってかえった。
つくえをあけて、セロテープをとりだす。
ぱりっ、ぺたり。ぱりっ、ぺたり。ぱりっ、ぺたり。
さくらの花びらを、セロテープでくっつけていく。
だんだん大きなかたまりになっていった。
そこで、セロテープがおわってしまった。
こんどはのりをとりだした。
ぬりっ、ぺたり。ぬりっ、ぺたり。ぬりっ、ぺたり。
さくらの花びらを、のりでくっつけていく。
だんだんスカートみたいなかたちができていった。
そこで、花びらがおわってしまった。
あの人はせがたかいから、もっとたくさんないとたりないんだ。
もういちどとりにいきたかったけど、もうゆうがただったからまた明日にすることにした。
次の日、おきてみたら花びらがちゃいろくかれてしまっていた。
きのうまではあんなにきれいだったのに。
どうしよう、またやりなおさなきゃ。
あわてて公園にいこうとしていたら、おうちの人たちが「もうさくらもおわりだね」とはなしてるのがきこえた。
どうしよう、いそがなきゃ。
公園にはしって、ひっしにかばんに花びらをつめこんだ。
はやく集めないと、あの人をよろこばせてあげられない。
そうおもったら、なみだがでてきた。
「どうしたの?」
うしろから、だいすきなあの人のこえがした。
ああ、みつかっちゃった。もうだめだ…
なきながら、さくらのドレスをつくろうとしてたことをあの人につたえた。
はなしがおわると、あの人はぎゅっとだきしめて、やさしくこういってくれた。
「その気持ちだけで嬉しいよ。ありがとう」
桜の咲く公園をあの人と散歩しながら、そんな十何年も前の子どもの頃のことを思い出した。
さくらのドレス PURIN @PURIN1125
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