便座の蓋は軟派か、硬派か

西桜はるう

便座の蓋は軟派か、硬派か

便座の蓋って、閉めます?

そもそも、この問題はトイレの蓋を閉める習慣がなかったら起こらない問題なんだ!


我が家は便座もあったかく、お尻にあたたかいお湯が当たる、普通のシャワートイレ。

母が節電のために、冬場は特に口を酸っぱくして『便座の蓋を閉めるように』と言う。

最近あまり言わなくなったと思ったら、私はもう便座の蓋を閉める習慣がきちんとついてしまっていたのだ……!恐ろしや、母の言葉。


我が家は2階建てのごくごく普通の一軒家。1階にも2階にもトイレがあって、こうやって2階の自室で原稿を書いている私は主に2階のトイレを使っている。

その2階のトイレの便座の蓋がくせ者だった。

トイレに入る。案の定、便座の蓋はしまっている。開ける。座る。と、背中に何かがもたれかかってくるのだ。

そう!言わずと知れた『便座の蓋』である!

何なんだ!私はちゃんと開けたぞ!?

もう1回、ちゃんんと開けて、座る。また何かが背中にもたれかかってくる。また便座の蓋!

何故なんだ!何故、ちゃんと開いてられないんだ!


まあね。私にも非があるのかもしれない。

勢いよく開けすぎて、バウンドして戻ってきてるのかもしれないし、丁寧に扱わなかった私が悪いと1回は認めようぞ。

ただ!ただね!

何故そうも何度も、毎回のように優しく私の背中にもたれてくるのだ!

軟派な男のように、そやっと、優しく!


私は作戦を変えることした。

トイレに入る。便座の蓋を開ける。ここでちゃんと蓋が開いてる状態になってるのか、確認するのだ。よおし、これでもうふにゃりと私の背中にもたれかかってくることはないだろう。

いざ、用を足さん!と、座るとまたもや『ふにゃり』。

ぬわぁぁぁぁ!くそぉぉぉぉ!さっきちゃんと私は確認したぞ!?

お前が私の背中にしな垂れかかってこないことを、ちゃ・ん・と・!確認したぞ!?


これは戦争だ。

私と便座の蓋との戦争なんだ。

お前が私の背中越しにナンパするのをやめない限り、私はお前を決して許しはしないぞ!


ちなみに、たまに入る1階のトイレの便座の蓋は硬派なのか、一度開ければ背中にしな垂れかかってくることはありません。

ちったぁ、見習え!2階のトイレよ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

便座の蓋は軟派か、硬派か 西桜はるう @haruu-n-0905

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る