第8話

 私は家に帰った後も黒井くんのあの涙を忘れることが出来なかった。


 黒井くんの弱った姿なんて初めて見た。


 もやもやしたまま帰宅した私はそのままベッドに倒れ、いつの間にか寝てしまった。


 起きた時にはもう7時半を過ぎていた。


「あ、やっべ」


 私は急いでリビングに向かった。


「時雨遅かったじゃないか。もうみんな食べ終わってるぞ」


お父さんに怒られてしまった。


あまり怒られるがない私は少しだけ涙が出てしまった。


「ごめん」


結局、私一人で食べることになった。


それからも食べているときも入浴中も頭に浮かんだのは黒井くんだった。


どうして黒井くんのことばかり頭に浮かぶんだろう。


多分、昔の私と似ているからなのかもしれない。


だからなのだろうか。


もやもやだけが募っていく。


「…おやすみ」


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この世界の真ん中に ペペ @k07n31

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