第4話 未来の世界

 気が付くと、私は倒れていた。

 ついさっきまで、お茶を飲んでいたはずだが、どこか知らない場所にいる。

 慌てて周りを見回してみたが、誰もいない。そして突然、私はもう一度倒れた。体が勝手に動いている。ものの仕業かと思ったが、今は体が反応しない以上、何もすることはできない。そして私は意識が遠のいて行った。


 そして私は、ある男性に声を掛けられ、目を覚ました。

 自分が今まで何をしていたのかわからず、今いる場所もわからなかったので、その男性に尋ねた。

「ここはどこなんですか?」

「ここは駒宮市ですよ。」

 駒宮市という名前は聞いたことがない。そして男性は、茶色く軟らかい瓶を取り出し、私に差し出した。しかしこのようなものを見たことがなかったので、どうすればいいのかわからなかった。すると男性は、

「これはお茶ですよ」

 といった。私の知っているお茶ではなく、枯葉色をした水だった。そして私は、気分が落ち着いたので、俳句を詠んだ。そのあと男性は、私に尋ねた。

「あなたは誰ですか?」

「私は松尾芭蕉です。」

「あなたはあの松尾芭蕉さんなんですか?」

 あの、とはどういう意味だろう。そして彼は、もう一度繰り返した。

「あの有名な俳人の松尾芭蕉なんですか?」

 その質問に、私は肯定的こうていてきに返した。

 彼は、また私に質問をした。

「どうしてあなたが、あなたの時代より三百年以上も後のこの時代にいるんですか?」

 私は思い出した。なぜ私がここにいるのかを。

 そして、その質問に答えた。

 すると彼は、

「今日、うちでご飯食べませんか?」

 と誘ってきた。他に頼るところもなかったので、遠慮せずに家に行くことにした。

 そして家に着くと、周りは見たことないものだらけだった。入口は木の扉にしろがねの突起、中には椅子と机。そしてよくわからない黒くて大きな薄い箱。

 とりあえず私は、来る途中で考えていた俳句を短冊に記した。


 彼は、夕食に煮魚を作ってくれた。そして、食べていると、彼は話しかけた。

「すみません、僕の名前を言うのを忘れていました。僕は、西岡浩史にしおかひろしって言います。」

 そういえば、彼の名前を聞いてなかった。そして、しばらく沈黙が続いた後私は、

「この部屋には私が見たことないものがいっぱいありますね。」

 特に気になっていたのは、あの薄く黒い箱だ。あれはどういうときに使うのだろう。

しばらく沈黙が続いた後、彼は

「今日はもう遅いですし、この家に泊めてあげますよ。」

と言った。私には、布団を貸してもらえたが、彼の布団はなく、床で横になっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

松尾芭蕉が現代に来たら お湯の煮込み @oyunonikomi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ