第3話 現代の家屋
僕たちは、家に到着した。彼は、部屋の家具を見て驚いていた。
驚くのも無理はない。彼からすれば見たこともないものに周りを囲まれているんだから。そして彼は、さっきのとは別の短冊を取り出し、俳句を詠んだ。それを僕は、横から覗き込んでみた。
「人々を 集めて速し 交差点」
交差点という言葉を知っているのだろうか。
記憶が正しければ、江戸時代の交差点は交差点という名前ではなかったはずだ。
交差点という言葉は20世紀になってからできた言葉だ。
そして僕は尋ねた。
「交差点という言葉を知っているんですか?」
彼は答える。
「道の近くにあった札に交差点と書いてあったので。周りの状況や字から交差点とは分岐した道なんだろうと判断しました。」
いや、ふつうそこまでわからんだろ。と思いつつも、僕は夕飯の準備に取り掛かった。
とりあえず僕は、魚の煮つけを作った。冷蔵庫にあるもので作れそうな和食はこんなものぐらいしかない。そして、僕は、あることに気づいた。そういえば自分の名前言ってないじゃん。「すみません、僕の名前を言うのを忘れていました。僕は、西岡浩史って言います。」彼も忘れていたらしい。
しばらく沈黙が続いた後、彼はこう言った。
「この部屋には、見たことのないものがいっぱいありますね。」
おそらく、家具のことを言っているのだろう。とはいっても、僕の家の家具は、シンクと小さいテレビ、少し机といすがあるぐらいの、広さは高校生の平均よりほんの少し広めの家だ。そして僕は、
「今日はもう遅いですし、この家に泊めてあげますよ。」
と言ったが、よく考えてみれば、布団が足りない。仕方なく僕は、床で寝ることにした。こうして、夜はどんどん更けていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます