第26話;ミミリィとレレミィ-3(力づくはしない…ウソでした)

教会の朝は早い、礼拝、掃除、司教の朝食の準備、

そして近所の食事も出来ない貧乏人や一人暮らしの老人向けに,週に3回朝の炊き出しが行われる。

ボランティアの主婦や学生が仕事前、学校に行く前に手伝いに来てくれるが、下準備は殆どフレデリックが行っている。


王女たちも教会に昨夜から寝泊りしていた、まだ薄暗い早朝、フレデリックの部屋に侵入した。

ベットは膨らんでいた、居ると確信して二人はベットにダイブ!


ボスン!


ふくらみが消えた・・・

「「・・・・だまされた・・・」」


ミミリィとレレミィはフレデリックを探す、調理場で音が・・・そこで2人が見た物は

精霊に手伝ってもらいながら大量の料理をする、フレデリックだった。


「?王女殿下?まだ朝早いですよまだ寝ていて大丈夫です。食事はまだ1時間はかかるので休んていてください。」


「「・・・・・」」


どやどやと教会の聖堂の方から音がする。

学生らしき若い男女が数人調理場に入ってくる。


「おはようございます、フレデリック様」

「皆おはよう、根菜はもう煮込み始めているので、早速ですがそこの葉野菜を切って貰えますか?」

「解りました。」


学園の制服の上から、そこにあった綺麗なエプロンをして、若い学生が包丁を手に取る。

暫くすると、主婦らしき人も来て調理場は賑やかになって行った。


呆然とする二人・・・・


「「私・手伝う」」

二人がそう言ううが、

「大丈夫です、お二人はお部屋で休んでいてください、お客様なんですから」


((ずきん))


二人は疎外感には自分たちは慣れていると思っていた、二人はこの胸の痛みが何かまだ理解していない。

とぼとぼと部屋に戻る二人。


二人が戻って来たのは結構豪華な部屋、本来司教が寝泊りする部屋である。

司教はもともと

《広い部屋嫌いじゃ》

と言って神父の部屋を使っていた,


それに二人はいつも一緒なので、二人で寝れる大きなベットは此処のみ、信徒がたまに寝泊りする、大部屋で王女を寝泊りさせるわけにもいかず、急いで部屋を整えたフレデリックだった。


二人は、そのベットに座って今見た光景を思い出していた。

”ドキン”と心臓が跳ねる

『『何なのよこの感じ』』

『お客様!?・・・婚約者なのに』

『お姉さま・・・フレデリックさまのお姿が忘れられないんです・・・心臓が・・・』

『私もよ・・・・フレデリックさまが欲しい・・・』

『心臓が壊れそうよ』

二人は手を握り合ってもじもじするのであった。



炊き出しの後、午後からは無料治癒を行っている。

フレデリックの治癒魔法は中級だが、重症でない限り治癒は可能だ、無料なのは王都で数ある神殿の中でもフレデリックの教会と後2つくらいで、何時も混雑している、人員不足でいつもトラブルが起きている。


「今日は静かですね・・・」

治癒をしながら患者に言うフレデリック。

「可愛い双子の娘さんが、「あっち。こっち」と怪我の重そうな人から受けれるように采配してましたよ、神父様の婚約者とか、さすがですね」


引きずっていた足が普通に動くようになり、喜んで教会を後にする患者を見ながら

「ミミリィとレレミィ様が・・・婚約者と言いふらしているのか・・・」


「神父様おめでとうございます」


会う患者、皆に言われた。

こっそり様子を見に行くと、笑顔で文句を言い出す患者をたしなめながら、


「「私たち・婚約者~指示に従う・する!」」


人々の並びを変えていた、二人の額には汗が滲んでいた。

夕方になり、時間が来たので、軽症者は帰ってもらい優先券を渡して治癒は終わった。


「皇女殿下、今日はお手伝いありがとうございました、助かりました。」

「「本当?・うれしい・だんな様・喜ぶ・嬉しい」」

二人は顔を赤らめ、二人で手をつなぎこちらを見る。


(・・・赤い顔が可愛い・・・普通にしてたら普通の女の子で十分可愛いのにな・・・)




魔力は減らないが、疲れはたまる、少し夕飯準備まで仮眠を取ろうと自室のベットに法衣服のまま横になった.


しばらくして違和感が・・・

「!体が動かない・・・」

ミミリィとレレミィが、フレデリックの上にのしかかっていた。


「!何をしているのですか!・・・裸!?」


『フレデリック様~フレデリック様~』

身体中にキスのあらし

『好き!・・・・そうだ私達好きなんだフレデリック様が!』


魔法で拘束され、されるがままの状態のフレデリック、いいかげんさすがに我慢できなくなる。

そんな時ぎこちなく、自分でしようと四苦八苦している二人、


『上手く行かない・・・うっ痛い・・違うダメだわ』


「拘束を解いてください」

『フレデリック様逃げるいや!私たちの物』

縋りついてくる二人


「据え膳喰わねば何とやら・・・我慢できないので」

『愛してくれる?』

「解いてくれたら」


そして二人は拘束を解く・・・

フレデリックはがっつり二人をいただいた・・・・





意識を失ってそのまま寝てしまった二人の寝顔を見ながらフレデリックは、窓から見える月にため息を吐いた。




目が覚めると、身体もリネンも綺麗になっており、夜着を着て二人は司教の部屋で寝ていた。

『運んでくれたのね・・・でも・・・・フレデリック凄くなれてなかった?』

『ええ・・・初めてじゃないわよね・・・いえそれよりもあんな体制で・・・』

真っ赤になる二人

『お姉さま・・・あかちゃん来ないかな?』

『・・・多分魔法で避妊されてたと思う・・・そこも慣れてる・・・』


二人は着替えて礼拝堂に向かう、司教が祈りを奉げていた


「お目覚めかな?」

「「じいじ、フレデリック様と結ばれた!」」

「おお、良かったな、幸せか?」

「「うん、幸せ・・・でも不安」」


「あれには色々あったからな、少なからず、王女殿下(そなたら)を受け入れる事にした様じゃの」

「「いろいろ?・・・・」」

「わしからは言えん、本人に聞いてくれ、話してくれるかもしれんぞ、期待せずにな」

「「・・・・?」」



「良いですよ話して」

礼拝堂に入って来たフレデリックが言う


「そうか?ま、そう言うなら・・・違ってたら補足入れてくれるかの?」





「簡潔に言ううと、

15歳の時に、兄たちに連れてってもらった高級娼館の娘に入れ込んでボロボロになった、馬鹿だ」


「司教~完結過ぎて補足もないじゃありませんが・・・・はぁ~」


ビックリして声も出ない二人


「幻滅したろう?いやになったか?」

首を振る二人



『今は?その方は?』

「死んだよ・・・・元々長く生られない人だったんだ、特殊な娼館契約で身請けも出来なかった」




「初めて彼女に会ったとき運命だと思った、一目惚れだった」




「フレデリック!いい加減にしろ!」

兄たちに叱られても、通うのを辞めなかった、

自分以外のお客を取らないように、お金を用意する必要があった、

冒険者になり、自分よりレベルの高い高額な仕事を死にかけながらやった、


「会うたびに泣くんだ、もう辞めてと泣くんだ、そんな状態の彼女を抱いていた」


彼女は魔族だったんだ、この地では、聖なる力が自然発生するこの国では長く生きられない、契約で魔族領に連れても行けない、魔族の半端ものだった為に何処にも居場所のなかった彼女、


「最後、僕の手を握って」

<有難う、あなたに会えてよかった、どうかあなたは幸せになって>

「そう言って息を引き取った、霧となって消えたアルグリッド・・・・」


『アルグリッド様と仰るの・・・・』

「彼女を本当に愛していた、ゆえに、私は生涯結婚する気は無かったんだ」

『私たちを抱いたこと後悔されてます?』


首を振るフレデリック

「朝方うとうとして居たら、アルグリッドが夢に出て来て、」


<あなたを本当に愛してくれる娘(こ)が現れて嬉しい>


「満面の笑みで言われたよ」


『フレデリック様』

二人がフレデリックの手を握る


「「あいしてます」」


「・・・・ああ、私も好きだ」


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初夜に目覚めた悪役令嬢 朋 美緒(とも みお) @mio2778

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