第25話;ミミリィとレレミィ-2(外堀埋められて逃げられない)
次の日
司祭から
「ジャクリン子爵家から、呼び出し状が来ているぞ」
「・・・・いやな予感しかしないのですが・・・行きたくないな」
「そう言うわけにもいかんじゃろ!?ま、里帰りのつもりで行って来い」
父親からの呼び出しは初めてではない、今までは母親がさびしがってるとか、今の健康状況確認、自分を心配してでの呼び出しだったが、今回は
『大事な話があるので、この手紙を読んだら直ぐ来るように』
と書いてあった。
(文字が震えていたような・・・・)
教会から、子爵家のある王都の屋敷街は馬車で20分程の、貴族屋敷の立ち並ぶエリアに有る。
乗合馬車をエリア入り口で降り、歩いて屋敷に向かった。
(家の前にある、王家の馬車・・・帰ろうかな・・・寒気するし)
「坊ちゃま!」
「ジークライド・・・・」
執事が回れ右したフレデリックを追いかけてきた。
「坊ちゃま!何処に行かれるのですか!呼び出されたはずでしょう?」
「・・えーと・・・具合が悪いので帰ります・・・」
「状態異状は無いようですが?」
(元、軍盛栄部隊の隊長にはごまかしは効かないか・・・・)
「はぁ~」
溜め息を吐きながら引きずられるように屋敷に着いた。
「旦那様と、お客様が応接室でお待ちです」
「お客様って誰?」
「お会いになれば解ります、そそうの無い様にお願いします」
「そんな凄い人?王家の馬車が止まってたよね・・・・」
「・・・・」
(黙らないでほしい、それにジークライドの緊張が半端ないのが分かる、ジークライドをここまで怯えさす存在って・・・)
応接室の扉の前に来た、その気配でジークライドが怯える人物が分かった
「王妃様?」
「さすがです坊ちゃま・・・」
「それにこの気配は・・・・・帰っていいか?」
「なりません!坊ちゃまが何処で王家と知り合いになったかは存知あげませんが、子爵家の存亡がかかっています!」
「大げさな・・・・やっぱ帰っていいか?」
がしっと腕を掴まれ、応接室の扉を開けるジークライドだった。
「旦那様、フレデリック様がお越しになりました。」
「おう、やっと来たか!こちらに来て挨拶しなさい」
ぞくぞくと寒気が止まらないフレデリックだった
そこには、王妃と双子の王女、なんと宰相の姿があった。
「あなたが、フレデリック?お邪魔しているわ」
「お初にお目にかかります、ロゼッタ王妃様、フレデリック・ジャクリン、ジャクリン家3男です。」
膝をつき臣下の礼をするフレデリック。
「堅苦しい挨拶はその辺でよくてよ、これからはお母様と呼んで」
「?はい?それはどういう・・・」
王妃の横でニコニコしていた双子が、ぼそぼそと精霊語で喋っているのが聞こえた
『素敵ね、あの魔力の色、あの魔力に包まれたい』
『本当ねお姉さま、優しさが溢れてますわ、私達にもその優しさを向けてほしい』
『駄目よ、無理強いはお母様に念を押されたでしょう?力づくはダメだって』
『でも、お姉さま誰かに横取りされたら、あんな素敵な方ですのに』
『だからの、お兄様(宰相)でしょう、外堀埋めてから、私たちの事を好きになって貰いましょう』
『そうですわね』
(・・・・おいおい!十分力づく(権力)な気がするんだけど・・・)
忘れているのか、フレデリックに筒抜けであった。
フレデリックの様子に気が付くロゼッタ、思わず苦笑いして溜め息を吐いた。
「フレデリック、お前と王女殿下二人の婚約が決まった。結婚の際には、お前には侯爵の地位を下さるそうだ」
「・・・・なぜ?私は国に貢献もしてないし、3男ですよ・・・婚約って二人とですか?侯爵以上の貴族には多妻は認められてますが、わたしはその考えを持っておりません。それに先日初めて王女様にお会いしましたが、いきなり風魔法で攻撃されました、そんな方々とは・・・」
父親が真っ青になっているのに気が付いて言葉を止めた。
「ごめんなさいね、快くお父様に受けていただいたので、もう婚約の書類が教会に出されているので、解消は出来ないわ」
ロゼッタが心苦しそうに言った。
「え?私サインしてませんけど」
「王家の殆ど命令の形なので、親のサインが有れば問題ないんだ」
宰相も申し訳なさそうにしている。
うきうきにこにこしているのは双子だけだった。
王命なので、婚約破棄をする時は、爵位と領土を王に変換して貴族を辞めなければいけないと言われた。
双子が悪魔に見えるフレデリックだった。
「私は今の教会から離れたくありません、明日の食事もあるか分からない貧乏教会です。」
「各教会には結構な支援をしているはずですけど?」
「教会へ国からの支援は、殆ど町の人たちのために使っています、そのための支援と思っております。教会の運営は殆どが寄付で賄われますが、私どもの教会のある町は年寄りが多く、寄付は殆どが野菜などの物でお金の収入は殆どありません。寄付の無い日もあるので、一日1食の日もあります、そんな所に王女様来る気がありますか?無いのなら・・・」
「問題ない!私達、働く・・貧乏、嫌い無い」
「冒険者、なる、旦那様助ける、問題ない」
「は?冒険者?」
「この子たちは強いわよ、Sランクの討伐に2人だけで出かけるくらいに」
「しかし、私は・・・」
「こうしましょう、婚約はもう取り消せれないので、結婚までの間ミミリィとレレミィが貴方の心を得られなければ、二人は結婚後離宮住まわせてあなたとの接触は禁止するわ、侯爵になれば他の女性を伴侶にしても問題ないから、好きな人が出来たら結婚すればいい」
「え?それでは王女殿下達が可愛そうでは?」
「別に隔離するわけではないわ、あなたに会うこと以外は二人は自由だから、結婚は出来ないけど問題ないわ、もともとこの子たちを娶ろうとする人なんて居ないのだし」
(それは言い過ぎだろ!母親がそれを言ってはだめだろう・・・)
「「問題・無い・・・・心つかむ!頑張る!体つなげる!頑張る」」
ぞわっと寒気がまた襲うフレデリック
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