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メジャーデビューを果たした文哉のラップは、しかし突然調子を変え、自らを
『
(健一朗は昔の文哉の
『そうだ。お笑い草ついでに、今の
(健一朗は又デビュー・アルバムも買ってこれも聴き込んている。)
そのリリックに言う。
我
時に、残月、光
健一朗は最早、彼の奇異を忘れ、粛然として、このラッパーの
文哉の声は再び続ける。
『
人間は誰でも詩人であり、その詩趣に当るのが、各人の性情だという。
今思えば、全く、己は、己の
ラッパーに成った今、己は
どうしようもないのだ。
己の空費された過去は?
己は
そういう時、己は、地元のライブハウスのライトの下に立ち、クルーに向って
父も母も姉もミケも、一匹の不良少年が怒り狂って、
漸く夜更けの暗さが薄らいで来た。
木の間を伝って、
『最早、別れを告げねばならぬ。酔わねばならぬ時が、(真のラッパーに還らねばならぬ時が)近づいたから。
だが、お別れする前にもう一つ頼みがある。それは己のセカンド・アルバムのことだ。お前等は
健一朗もまた涙を
文哉の声は
『本当は、しかし、この事の方など先にお願いすべきでないのだ、己が高校球児だったなら。母校の甲子園出場よりも、来月出そうとするアルバムの売れ行きの方を気にかけているような男だから、こんなラッパーに身を
文哉はリスナーに向って、
健一朗も何とか感涙を
***
文哉が武道館でのライブを決めた時、健一郎は、言われた通りに連絡して、最前列の特別席からステージを
了
山月記-Lyricist Remix- せらあまね @sera_amane
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