第16話 ジンー3

俺はカッパの人達と別れ、訓練場を俺は彷徨う。


 俺は先ほどのカッパの人達の行為を思い出しながら、死んだ俺の爺さんの言葉を思い出す、「受けた恩は遠くから返せ」って言葉だ、ガキだった俺はその意味が解らなかった、だが今なら少し判った気がする。


直接恩を返すより遠くから返す事の意味を。


 互いに助け合い地域全体をより良くしていき住みやすい場所にして行く事がこの土地に住むカッパの人達に対する恩返しなんだと思う、俺はそう思いこの土地で何をするべきなのかを考えつつ今まで見てこなかった自分の周りを見る事に注意を払うようになった。


 分からなくなったり迷いが出たら基本に戻る、俺は初心に帰り走る事から始めた、採石場とギルドの間を往復だ、途中休んでいる受講生を幾人も見た、まだ身体強化が出来ない受講生達だ、俺はおもむろに一人で走っている犬耳の少年に声をかける。


「少年、身体強化の訓練初めて何日目だ?」


「え…、僕ですか?」


「そうだ、」


「ん~中級に上がって今日で25日です」


「そうか、身体強化手伝おうか?」


俺がそう言うと犬耳の少年は怪訝そうな表情をして


「え?いや大丈夫です...」


「そうか、本気で身体強化したくなったら声を掛けてくれ」


「はぁ、わかりました...」


「身体強化のコツを一つだけ伝えておく」


「それは何でしょう?」


「ぶっ倒れるまで走れ、」


「はぁ...」


俺はその場で身体強化して一気に走り抜ける、犬耳少年は一瞬唖然としていたが俺の事を追いかけ始めていた。


「あなたはもう身体強化出来るんですか?」


そう犬耳少年が遠くで叫んでいたので俺は足を止め犬耳少年が来るのを待った。


「身体強化出来るんですか?」


「ああ、出来る」


「すいません、てっきり冷やかしの人かと思って...」


「いや、かまわない、」


「あらためて僕に身体強化のやり方を教えてもらえませんか?」


「では俺のペースに合わせてくれ、横を走る、」


そう言いながら僕に並走してくれているんだけど少しぺ-スが早いんだ。


 僕はすぐに息が上がって苦しくなってくる、ギルド前に到着して折り返す頃にはもう動けなくなっていた、っで動けなくなった僕の首に縄を付けて強制的に走らされたんだ、足がもつれて転倒しても容赦なく首についたロープを引かれ引きずられていく、すると前の方に4人に囲まれて罵声を浴びせられ竹の棒で尻を叩かれながら移動している人たちと遭遇したんだ。


「やあジンさんも身体強化の手伝いかい?」


「ああ、」


「もしもなかなか身体強化が出来ないようなら手を貸すよ」


え?ひょっとして僕はあの鬼共の餌食になっちゃうんですか、


「まだ大丈夫だ、ダメなら声を掛けさせてもらう」


「了解で~す」


僕は必死に走ったんだ、身体強化出来なければあの鬼共に売り渡されてしまうと言う恐怖心を振り払うが如く走った、




「もうダメです、動けません、」そう言って僕はその場に倒れ込んだ、


「そうか」


そう言ったかと思ったら、さっきの鬼どもと何か会話していたんだ、危険を感じた僕はその場から離れる様に這いずってでも移動しようと体に力を込める。


何とか体が動き始めて来たんだ、

「よし、このまま這いずってでもこの場から離れなければ。」


[ジンさん犬耳少年が這ってでも進もうとしてるよ」コウが呟く


「倒れてでも前に進むその根性凄いですね」ヒトシが呟く、


「ジンさんあの子、もう少しで身体強化出来ますよ」リエが言う


「じゃあ、私たちが背中を押すのを手伝おうか?」ミホが提案してきた、が


「有難う、しかしまだいい」ジンさんのこの言葉が僕の耳に入って来たんだ、僕の事を信じてまだ付き合ってくれる事を、そう思うと何かが満たされていく感覚になって力が湧いてくるんだ、立ち上がって又走ろうと足が前に出る。


「ジン、見てあの子身体強化が始まったみたいよ」

ミホが呟いた、


俺は犬耳少年を追いかけるように走り出す、


「少年よ、出来たな 身体強化」 ジンが言葉で労う


「え? 本当だ 足が上がるし苦しくなくなりました、」


「よし、このまま採石場へ向かう、」


「はい!」


二人は全力で採石場まで走った、


「よく頑張った、後は瞬時に身体強化に移行出来れば上級に上がれる、」


「はい!有難うございます、」


そう言うと犬耳少年は何かを期待した目で俺の事を見ている、何を期待しているのか判らないのでここで別れの言葉を切り出す、


「あとは頑張れ、」


そう言うと泣きそうな勢いで俺ににじり寄って来た、


「もう...教えてもらえないんですか?...」


「わかった、上級になるまでは付き合う」

 

「有難うございます」と言いながらしっぽをぶんぶん振っていた。


「しかし、付き合うには条件がある」


「条件...?」


「次はお前が誰かの手助けをする事だ、やり方は判るな?」


「はい、何時も走るペースより若干早くしてぶっ倒れても走る事ですね」


「そうだ、」


そんな会話をしていると、そこへ山羊獣人の教官が来た、


「ジン君珍しいわね誰かと一緒にいるなんて」


「ああ、身体強化の補助をやっていた、」


「ありがとうね、飛行魔法が教科に加わってから受講生さんがいきなり増えて私達教官も目の届かない子がいるのよねぇ~」


「そうか、」


「これからも身体強化で戸惑っている子がいたら手を貸してもらえると有難いわぁ~」


「了解した、」


「じゃあ、エリック君頑張ってねぇ」


「はい!有難うございます」


俺はこの少年の名前を始めて知った、


「よし、とりあえずエリック休憩だ、」


俺は草の上に寝転んだ、するとエリックも近くに寝転んで休憩を始めた、


「ではこの場で身体強化の練習だ、素早く強化のON OFFを繰り返す」


「はい!」


30分位練習をして様子を見る、


「いくぞ」俺はそう言ってエリックに腹パンを撃つ、


「ガキン」と受け止められた、なかなか良い速度で強化出来ている、


「よし、」


「はい!ありがとうございます」


「エリック、課題を出す、上級に上がったら先に土魔法を覚えろ」


「それが課題ですか?」


「そうだ、魔力量が一気に上がるからだ、」


「はい!判りました」


「とりあえず飯にしよう、」


「はい!僕が取りに行ってきます」そういって山羊獣人の教官の元まで走って行った。

「お待たせしました、お弁当貰ってきました、」


「...その後ろにいる奴は誰だ?」


エリック少年は慌てて後ろを振り返る。 

そこには猫耳の三毛猫少女がいた、


「ルーちゃん何でここに?...」


「兄ちゃんと一緒に行きたいんだ、だから...」


「危ないから来ちゃダメだって言ったろ」


「でも...」そういって初級の受講修了書を見せる、


「エリック、知り合いか?」


「はい、幼馴染のルーちゃん...ルシファです、」


「そうか、お前はエリックと同じ所に行きたいのか?」


「はい!一緒にいきたいんです、」


「そうか」


「何を言ってるんだ、ルーちゃん そんなことは」


「あたしは決めたの、エリック兄ちゃんに付いて行くって、だから...」


「判った、俺がエリックの弟子として認めよう」


「エリック、次の課題だこの猫娘を鍛えてやれ」


「...師匠本当にやるんですか?...」


「ああ」


「お師匠様ありがとうございます」猫娘が俺に感謝の言葉を述べる


「ではエリックこの猫娘を身体強化出来るように鍛えておいてくれ、俺はここで練習しながら待っている」


「本当に ですか?」


「ああ」


「判りました、行ってきます。」


猫娘は俺に向かって一礼する

「ありがとうございます、これから宜しくお願いします」


「ああ、とりあえず飯食ってから行ってこい」 俺は返事をしてその場で弁当を広げた。


3人で弁当を広げる事に、2人の関係を猫娘が話してきた、どうやらご近所さんの幼馴染らしい。


昼食を終えた俺たちは午後の練習へと移行した、が すぐに俺の元へと戻ってきた。


「どうしたんだ?」


「あれからすぐに身体強化が始まって」


「そうか、今日は二人とも中級検定を終わらせられそうか?」


「「はい!」」


俺は二人を連れて練習場の端まで来た、土魔法の練習エリアだ、


エリックと猫娘に土で人形を作らせ練習させる、気が付けば本日の検定の時間になっていた、


「本日の中級昇級試験を始める、臆さぬものはかかって来い!」


虎獣人の教官が中級検定の希望者を募っていく、7人程が挙手をして教官の前に並んだ、


「試験は簡単だ、俺は強化しない普通のパンチで腹を狙う、それを身体強化をして受け止められれば合格だ、」


最初に名乗りを上げてきたのは包帯だらけの獣人の青年だった、


「ン・バギです宜しくお願いします」そう言って一歩前へ出る


俺はこの男に見覚えがあった、情報収集していた時にコドワのグループにいた奴だった、パンチを受けたときに体が浮き上がる、もし強化出来ていなければ確実に内蔵破裂してしまう所だ、


「良い出来だ!」虎獣人の教官が褒める、


次に前に出てきたのは人族の二人組だった、


「ジョニーとアシル!今日も宜しくお願いします!!」金髪と黒髪の男が気合を入れて叫ぶ、


虎獣人が二人の前に立つと同時に両腕を右と左、二人の腹に叩き込む、ガキンと音がして両人共に受け止めきる、


「「ありがとうございます」」


「今日は早かったな、」満足そうに次に向かう



次に4人程まとまって12~13歳位の少年少女たちが前に出てきた、その後ろにはカッパの人達がいた、

「宜しくお願いします」

カッパの人が虎獣人の教官に挨拶をしてから少年少女達が各自挨拶をして腹パンを打ち込まれた、

「うむ、いつもながら完璧だな」

「「ありがとうございます」」カッパの人が礼を言う


「他にいないか、臆さぬものはかかって来い!」


「「はい!」」


「エリックとルシファです、お願いします」と、エリックとルシファが手を上げて前に出てきた、


「よし、前に行ったら腹パンをする、それを身体強化で止めろ」


「「はい!」」


教官が前に来る直前に二人とも身体強化をかけて防御した、


軽量のルシファが腹パンの威力で浮き上がったがくるっと回って着地、エリックはその場でガッシリ受け止める、


「よし、きれいに受け止めたな、二人とも合格だ!」


「他にいないか?いなければ又明日、臆さぬ者はかかって来い、」


「今日も上級の検定者はいないようだな、」狼男が残念そうに呟く


「上級受講者は今日の検定はいないようなのでこれにて解散とする、まだ練習したい者は俺が未だここにいるから判らない事が有れば質問を受け付ける」と狼男が言って本日の教習は終了となった。


俺たち3人はギルドの受付に戻ると本日の報告をして解散とした、


エリックと猫娘の二人が帰宅するのを確認し俺はギルド内で人の流れを見ている、

受付には虎獣人の姐さんが座っていた、ちょっと質問をして来よう、


「飛行魔法はどこで教わるんだ?」 俺が問う


「あたしがレクチャーしてるよ、」虎獣人の姐さんが答える


「習いたいのだが何時から出来る?」


「わかった、その資格があるかどうか確認するから練習場へ来な」


裏手の練習場に向かうとV字編隊を組んでいた連中が今日の反省会をしているようだった、そこに虎獣人の姐さんが行くと、


「ステファニー教官本日の飛行訓練終了しました、」とダークエルフっぽい少女が報告していた、


「ミーナご苦労、今日の班長はおまえだったのか、」


「はい!教官」


「うむ、これから適正テストをやるから誰か一人手の空いてるものを募集する、誰かいないか」


「「「「「「はい!」」」」」」ほぼ全員が手を上げる、兎耳の小太りの少年がちょっと遅れて手を上げていた、


「そうだな、じゃあロニーお前がこいつの補助をしてやれ」


「はい承知しました」と言って前に出てきたのは虎獣人の少女だった。


「適正テストから始めます、一つでも不可があった場合お教えすることはできません」


「わかった」


「最初に土人形を作ってください」


俺は戦闘用のゴーレムを作る、作り慣れたガソダムタイプだ、


すると虎獣人の少女は同じく土人形でファOティタイプを作ってきた


「軽く模擬戦を始めます」そう言ってファOティを起動させてきた、


「模擬戦だな?」と確認をしつつこちらも足裏についたキャタピラを高速回転させダッシュする、一旦距離を取ってから相手の右手を狙いパイルバンカーを打ち込む、


ファOティが軽くかわしながら左踝に装着されたターンピックを地面に打ち込み急旋回して俺の後ろにつく俺も後ろに付かれないようにターンピックで一瞬片足を軸にして旋回、そしてそのままバックで走行,ファOティと対面した状態で移動していく、そしてもう一度左足のターンピックを打ち込み左足を軸にして急旋回、俺の横を通り過ぎていくフOッティの右側面にパイルバンカーを打ち込む、


「よし、試合終了だ、」虎獣人の姐さんが吠える


「ジンなかなか良い動きだったぞこれで物を動かせるという事と魔力で継続して稼働することが出来る事を確認させてもらったわけだ、


「次の試験ミーナ手伝ってくれ」


「はい教官」


そこにはよく採掘場の練習場所で見かけるダークエルフの少女がいた、


「ちょいと理解しやすい風魔法を見せてやってくれ」


「はい」 そう言ったかと思うと風が集まり始めて砂埃を巻き上げつむじ風を起こしていった、


「じゃあジン今のをやってくれ」


「うむ」軽く頷き魔力を動かし空気を動かして風を起こしつむじ風を発生させる


「とりあえず10分ほどそれを維持だ」


「はい!」元気よくミーナが答える


俺も楽な姿勢でつむじ風を維持して10分経った。


「まあいいだろう、有難うミーナ」


「よし、実技は問題なさそうだな、よしでは初級教室に移動だ」そう言って懐かしの初級教室に移動した、


教室に入ると初級コースの少年少女&青年&中年の受講生が計15人程授業を受けていたんだが、どうやら場所はここでやるらしい、ここで虎獣人の姐さんが、


「諸君!おはよう、本日は上級クラスの飛行魔法の教習もこの部屋で行う!だが初級の諸君はこの教習を聞いてはならないし、しゃべってもならない、なぜなら中途半端に聞きかじって飛行魔法を行おうとすれば飛ぶことが出来なくなってしまうからだ、ちなみにうちのギルドにも飛行魔法がつかえない職員がいるくらいだ、皆心して初級講習に集中するように!」


初級の受講生をちょっとビビらして注意を促すって手法だった、


「以上が飛行魔法に関する講義だ、何か質問はあるか?」


「実際に飛行魔法を使うのはいつからだ?」


「ああそれは明日の朝 裏の練習場に集合だ、」


「判った宜しく頼む」


 俺はギルドを後にして宿に向かい 一階のレストランに入り今日のお勧めを注文する、

 

食事の最中は情報収集だ、各テーブルに聞き耳を立てる、


「やっと明日から上級だ~長かったな」


「まったくだ何度骨折したか覚えてないぜ」


左後ろのテーブル席にこの間の4人組がいる、男たちは上級に上がったようだが女たちはどうだったんだろう。


「やっとこれで皆で上級にいけるね、あたしたちは初日で合格したからよかったけれど」


あの女達は初日合格だったのか、と思いほかのテーブルの声も聴いてみる。


「明日は久々に飛んでいこうと思うんだ、」


「え?でもミホとヒトシはまだ講習受けてないんだよね」


「はい、二人ともまだです、」


「今の二人の実力なら受講可能だと思うからあとでステファニー教官に聞いてくるといいよ」


「はい、コウさん これ食べ終わったらすぐ姉さんと行ってきます」


「うんそうだね、ヒトシ」


俺はあの姉弟と一緒の教習を受けるらしい まあ、だれが一緒でも関係のないことだが、



翌朝俺はギルドの訓練場に来た、虎獣人の姐さんが点呼を取っていた、


「今日の受講者は3人だったな、よしコウ、リエ、グスタフの3名は補助についてくれ」


「「「はい」」」


「じゃあ屋根よりちょっと高いところまで5往復だ、」教官が叫ぶ、


俺はコウと組むことになった、


「ジン後ろから失礼するよ、」そう言ったかと思ったら後ろから腹を抱えられて垂直上昇した、


「まるでエレベーターの様だな」


「そうだね、この浮く感覚を掴んだらあとは自習なんだよね、」


「そうか」


「今はこの浮き上がる感覚を覚えてそれを実行する、そして次は風魔法で自分を移動させれば飛行魔法の完成って事なんだけど、とりあえず既定の5往復上下移動したら自習していこう、」


「わかった」


 俺たちは5往復目も終わり自分を浮かせる練習だ、意外と簡単に出来た、次がこの浮いた状態の魔法を使ったまま風魔法で自分を吹き飛ばす感覚を自分になじませる、この浮遊魔法と風魔法を組み合わせたものが飛行魔法と呼ばれるものだった、


 俺はコウに礼を言いその場を離れた、俺は採石場の上空100m位であのエリックとルシファの二人組を見ている、二人共土人形を作って小さいゴーレムを躍らせている、俺は地上に降りてから二人の所へ向かうことにした。


 俺は二人の近くに行って挨拶をする、


「やあ」


「あっ、おはようございます」


「今日はゆっくりなんですね?」


「ああ、どうだ?問題なく出来ているか?」


「「はい」」


二人揃って回答して来た


「ではその作業を続けておいてくれ、俺は走ってくる」


「「はいっ」」


 俺はギルド方面に向かい走り始める、この頃本当に人数が多くなった、今までは合計で50人くらいだったのがこの道沿いだけで100人はいる様に思える、その中でいつも一人で走っている奴を見つける、

頭髪は銀色ワイシャツに皮のベストで半ズボンの少年に俺は声をかけることにした。


「身体強化の練習か?」


「は、はい…」


「そうかよかったらアドバイスしようか?」


「お、おねがいできますか」


「よし、俺の横について走れ、ペースを上げるぞ」


「あ、はい」


ペースを上がてから5分もしないで少年が倒れた、


「さあ、寝てないで起き上がって走れ」


「は、はい...」


俺はこの教習で思ったことがある、自分一人で走っていると自分に甘えが出てしまう、故に何時迄たっても強化出来ない、その甘えを取り去る事がこの教習の目的なのではないかと言うのが俺の考えだ、なのでこの少年を俺は倒れても首に縄を付けてでも走らせる、コウ達のグループでは4人でそれを行っている、


「少年よお前は魔法に何を望むのだ?」


「ただ、ひたすら強くなりたいんです」


「何の為強さを求めるのだ?」


「うちの村を、家族を守るためです、」


「そうか、お前の守りたいと思う心はただ走るだけと言う事も出来ないだけの軽い思いなのか?」


「そんなことはありません!」


「ならば走れ!文句は言わずただひたすら自分の限界を超えろ、その先にお前の望むものが、世界が広がってくるんだ」


 俺は少年の首に付けた縄を引っ張りながら又少年を走らせる、少年はゲロ吐いた、それでも俺は縄を引っ張り走らせる、また少年は倒れた、今度は動かない 気を失ったようだが、俺は魔法で大量の水を掛ける。


「少年よ目が覚めたか?」


「は...い...」


「行くぞ少年よ、」


「もう動けません」


「お前の強くなりたいと思う気持ちはそんなものだったのか」


その時俺たちの横を4匹の鬼に囲まれて仕置きを受けながら走っていく男がいた、


「コウのグループか、お前も向こうで教習するか?」


少年は青ざめた顔で震えながら


「い、いえ このまま引き続きお願いします」


「そうか、ならば立てそして走るんだ、」


 僕はその言葉を聞き自分の甘さが判ってきた、自分じゃもう限界と思ってしまったところが他人の目から見るとまだまだ大丈夫だと言う事だったんだ、ほかの人はあんな鬼どもに囲まれてもやり遂げてるっていうのに、僕は立ち上がるそして走るために足を上げていく


「足が軽くなりました、それに苦しくなくなってきました」


 僕はおもわず声に出して叫んでいた、早い!ほかの受講生の人達がそして街道の景色がどんどん遠ざかっていくんだ。


「よし、出来たようだな このまま直進して採石場迄走っていくぞ」


「はい」


俺達は採石場についた、そこには相変わらずエリックとルシファが土人形を作っていた、


「エリック、こいつも頼む」


「はい、僕はエリックこの子はルシファよろしくね」


「師匠この子の名前は?」


「聞いてない適当に連れてきただけだ」


「はい僕はサーベラス一応女子です、それと年齢は15歳になりました」


「君はぼくっ子だったのかぁ~、師匠って性別にこだわらないんだよね、よろしくね」


むっ 女子だったのか、まあどっちでもかまわんが、じゃあルシファに任せるかその方がやり易いだろう、


「ルシファ、こいつを任せた 身体強化がすぐに出来るようにお前が教えてやってくれ」


「はいわかりました 師匠」


 ぼくはルシファと呼ばれた子から次の課題を与えられた、中級の検定は腹パンをいかに身体強化で防げるかと言う課題があるらしいんだ、それで今寝転がって身体強化のON・OFFの繰り返し練習をしています。 


「よし、エリック、奴に腹パンしてこい、お前も身体強化して打ち込め、奴が身体強化出来ない場合は 骨折か内臓破裂の重傷を負う、もしお前が手心を加えた一撃の場合このチームは即解散させてもらう」


「は、はい 判りました...」


「では、これから開始するがエリックがお前の前の来たら即身体強化させて腹パンを防いで見せろ、ただそれだけだ」


「宜しくお願いします!」サーベラスが元気よく挨拶をした


それに応じてエリックも「宜しくお願いします」と声をかける。


二人向き合ったと同時に身体強化をしてエリックはパンチを打ち込みサーベラスが身体強化でそれをはじき返した。


「よし、この調子でいけば今日の検定は合格できる、それまでの間にルシファは土魔法を教えてやってくれ」


「ルーちゃん魔力切れだけは起こさせないようにね、今日検定なんだから」


「うん わかってるから大丈夫」ルシファが答える。


その後4人で昼食を取り軽く練習して今日の検定の時間になり検定は無事終わった、当然合格で終了した。


続く

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居酒屋【冒険者ギルド】 七味とうがらし @tomboy_1342

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