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あじろう

第1話 Prologue

西暦2026年突如として全ての人間が超能力を持つようになった。それは水、火、風、土、つまりは四大元素に付属した能力であった。

それに伴い今までは見えていなかった生物達が視覚化されるようになり後にサイドアニマルと名付けられることとなる。

また能力を使用した犯罪の発生が多発し、当時テロ組織であったTod(トート)はさらに活性化し世界中で大規模な能力を使ったテロ行動を行なった。

日本でも数多くの犠牲者がでることになった。

この一連の騒動は世界的大混乱を招いたが、アメリカ、日本などを中心とした国が迅速に対策本部を立ておよそ1ヶ月で沈静化を行なった。

この時に中心となった国々が作り上げた組織が、わが国も所属するUnion of element nationsつまりUENであり、IEU(革新ヨーロッパ連合)や中国ロシアを中心としたNSNF(新社会主義国連盟)らと並ぶ組織群となっている。

またUENでは2030年には世界のシステムは大きく変わり、20歳になると能力の強さが数値化されその数値により各属性ごとに序列が表示されることとなり、上位者の者達には様々な場面で相応の待遇が行われることとなっている。教育や今まであった企業が完全に生まれ変わるという事にはならなかったが、能力としての制定が様々に付け足される形となった。


「えー、以上が誰でも知っている今のこの世界の基本です。君たちは20歳前後だから能力がない世界のことも体感してないよね。なので本講義では旧世界のことも踏まえ前後期で行なっていきます。今日はちょっと早いけど終わりで…………」


2026年つまり今から19年前に世界は変わってしまったらしい。僕はその歳に生まれたので旧世界の事はよく知らない。

ただ当時起きたテロ行動は日本では東京を標的とし、それにより両親は僕を産んだ後に亡くなってしまった。

Todと呼ばれるテロ組織は今は影を潜めているが政府の発表ではまだ彼らは水面下で息をしていると言われている。


「だーかったるいよなー授業なんてよう。三春もそう思うだろ?午後の講義サボって遊びに行かね?」

そう声をかけてきたのは幼い頃からの友人である日下部リョウである。170センチ52キロという痩せ型な僕とは違い大柄な体格で性格も温厚であるが馬鹿なところが多々ある。まあいい奴だ。

「遠慮しとくよ。午後の講義は中々単位が出ないって有名だし。」

「なんだよノリ悪いなー。てかもう直ぐ俺らも20歳かー能力数値化による人のランク化。なんか怖いよな、俺全く自信ねえよ。それに能力が高いと判断されてりゃ20歳なる前に政府から声がかかるしな全く不公平な世界だよな!」

「まあそうだけど、能力のない僕には関係のない話だよ。」

「…………。わりい…そういうつもりで言ったんじゃ」

「わかってるよ、何も気にしてねーから。」

そう僕は能力がなぜかない。老若男女どんな人間にも能力は差はあるものの発生した。

しかし僕にはそれがない。当時は政府からも異端者として騒がれたが結局今はただの出来損ないとしてもはや興味の対象にもなられていない。


「はらへったな、昼飯いこーぜ。奢ってやるよ」

そうリョウが声をかけた瞬間だった。大きな爆発音とともに身体が吹き飛び、僕は意識を失った。










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