18話 宿泊券獲得
温大はあの後先輩のもとに行って謝ったらしい。
天才には変わったところがあると言うが、雅先輩も例にもれずにその一人だったようで沸点の分からない人だ。
その日の放課後に雅先輩から僕たちは呼び出されていつもの喫茶店に集まることになった。
「先輩、いきなり僕たちを集合させてどうしたん?」
僕が先輩に質問をすると先輩は何やら嬉しそうにこたえる。
「いやぁ、この前お仕事でMV(ミュージックビデオ)を撮ったのだけど、舞台が温泉街でね。」
「もしかして藤崎先輩!」
と、温大。
「温泉宿の宿泊券もらいました!!」
「「おおおおおおおおおおおおお」」
一同は驚くわけだ。
ちなみに今ここにいるメンバーを紹介すると、【藤崎雅】【月代温大】【明石楼愛】そして僕【伊月空祐】だ。
温大の妹の時雨は放課後に自分のお仕事があるらしく来られなかった。
「それで場所はどこなの?」
僕が聞いてみると場所は有名なところで伊香保温泉らしい。伊香保温泉と言えば石段がすごく長く続いていて上るのに苦労するとネットで見たことがある。
しかし問題なのはここにいるメンバー全員が有名人で、予定が合わせにくい事と身バレの危険があることだ。僕と楼愛は例の配信でバレてしまったが、温大と雅先輩の関係は仲のいい僕達でさえさっき知ったところだ。
予定を合わせることが大変なのは女性陣のほうで、僕と温大はお互いに配信者と言うポジションなので予定の調整に困ることはないが、楼愛は人気モデルで最近はテレビ出演も増えてきているし、雅先輩は誰もが知っている歌手なのでレコーディング・ボイストレーニング等数えたらきりがないほど多忙らしい。
そんなこんなで僕たちの温泉旅行は一か月後を予定した。
帰り道僕と楼愛は「楽しみだね」と会話をしながら帰った。
温大は妹の時雨を迎えに行くと言って仕事現場の方に向かった。
僕は家に帰ってからは編集作業に追われており、今日中に2本の動画を完成させなくてはいけないので大忙し。(一本の動画をカットするだけで一時間。テロップやBGMを入れる作業で一時間。計二時間が一本の動画にかかる。)
忙しく編集作業をしていると、何やらリビングの方で物音がしていることに気が付く。ヘッドフォンをしていて気が付かなかったが泥棒か?
「誰かいるのか?」
リビングのドアを恐る恐る開けるとそこには愛しの楼愛たまが立って居った。
「あ、空祐君。さっき部屋に入ったら編集で忙しそうだったから声かけなかった!」
「でもご飯作ったから一緒に食べよう!」
エプロン姿の楼愛がご飯を作るためにわざわざ来てくれたみたいで、テーブルの上にはおいしそうなハンバーグとコーンスープが用意されている。
「楼愛、ありがとう。じゃあ一緒に食べようか。」
なんて素晴らしい彼女なんだ。まるで新婚生活を始めたかのようだ。
そんな二人の新婚生活を様子をリビングのテーブルはひそかに感じ取っていた。
こんにちは、作者の十六夜狐音です。
本当は僕が高校生のうちに完結させようと思っていた作品なのですが、おさぼりの僕には少し難しかったです。まだ終わらせたくない気持ちが残っているまま高校を卒業して今は専門学生をしています。もうしばらくこの作品におつきあいくださいませ。
さて、次回は温泉編の始まりですね。
皆さんは温泉はお好きですか?僕は好きですがこの頃は感染症の影響でなかなか遠出ができない情勢なので温泉に行きたい度が天井を突きそうです。
それでは次回もお楽しみに。
僕が好きな君は僕が好き。 十六夜 狐音 @Kaikus30
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