彼女の清らかな魂を神様がご覧になって、、なんてことは全くない物語

褒め言葉です、と重ね重ね断った上で、2021年に読んだ中で、ダントツの嫌悪感、ムナクソのお話でした。
露悪趣味なグロテスク、残酷描写ではなく、人間性の厭らしさはこうも醜いものかという憤りで物語に引き込まれます。
そんな人間どもに翻弄される心優しい、ちょっと考えの足りない主人公の、怒りや悲哀、孤独、そして絶望に胸が押し潰される苦しさ。
どうかどうか、神様(とかそんなものがいるなら)、海原さんを救ってあげてくださいと願わずにはいられません。
あの有名な童話のプロットを踏まえつつ、先読みを許さない独自展開のストーリー、Transfurずきなら没入せずにいられない、人外視点の描写も秀逸です。