第三話 堅くて、脆い。

「きゃっ!」



「危ない!!」




俺は反射的に島崎を庇うようにして丸まった。





「俺死ぬのか...」








ピーーーーーーー!


「君達危ないじゃないか!!」


「すみません」


なんとか走っていった車と俺達は少し距離があったので車が急ブレーキを踏むことで間一髪助かった。



しかし島崎の意識は朦朧としており、運転手の人に謝罪を済ませると、俺はすぐに病院へ運んだ。




数時間後




島崎はベッドで死んだように寝ていた。

意識は戻ったらしい。


島崎の親御さんに病院の方から連絡したらしいが、用事で田舎の実家に帰っていて、病院に来られるのは早くても明日になるそうだから、今の間だけ病室で付き添いを頼まれた。




こうして面と向かって顔見ると意外と可愛いんだな...

ついてるものもしっかりついている...


少し体が火照る。



よくよく考えれば女子と密室で夜に2人っきりというのちょっと思うところがあるな...w



そんな事を考えていると島崎が起きた。



「ここ、どこ...?」



「きゃっ!」




俺の顔を見るなり恥ずかしそうにそっぽを向いた。



「さ、さ、さっきはあ、ありがと...」



俺が島崎を庇ったのは見てたらしい。

耳を真っ赤にさせてそう言った。




「あ、てかバイト行かなきゃ!!」


「おいおいこんな状態でバイトの事なんか気にしてる場合かよ」


「あんたと違って私ん家には金がないのよ!父親は私が小さい頃に女作って逃げて、母親1人に育ててもらって.....弟だって2人いるんだよ!!」

「どうせ私の事なんか貧乏だって蔑んでるんでしょ!!」



「そんなの思う訳ないだろ!!」

「俺なんか家でずっとゲームしてるよ!何もせずに!こんなクソみたいな生活してる俺よりも家族の為にバイト掛け持ちして頑張ってるお前の方がよっぽど偉いよ!!」


「でもな、家族養おうとするお前が自分の事も大事に出来ないなら家族なんか養っていける訳ねぇだろ!!」



「...もっと自分の事、大事にしろよ!!」




「じゃあ私...私...どうすればいいのよ!!」




泣きじゃくって俺に抱きついてきた。



「ちょっ!?」



「これくらいいいでしょ!」



恥ずかしかったけど払いのけるのは良くないなと思ってそのまま島崎を受け止めた。








翌日







キーンコーンカーンコーン




「はい、席ついてー」


「昨日あんなことがあったのにあいつ学校きてんだなーすげぇなw」



朝の挨拶こそなかったが明らかに左斜め上(島崎)からの視線を熱く感じるようになった。






そーいえば姫野はどうしてるかな?

どうしたかなもクソもねぇかw

学校来てるだけだしw


てか可愛いな〜

その長い綺麗な黒髪で更にビジュアルが栄えるんだよな〜の割に幼いのも( -`ω-)b

そのSっ気オーラも最高かよぉ~

って俺Mじゃないからね!?




はっと我に戻った時、左斜め上からの視線が更に熱くなっているのを感じた。

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