そこにある感情は確かにありふれたものなのかもしれない。太陽でも月でもなく、たくさんの星で宇宙を照らそうとする男、妻の分身でもクローンの一人でもなく、どんなものでもいいから唯一無二の一人として見られたい女。まるで宇宙空間の中を漂うような、しずしずと流れる物語。
ひねった設定ながらも、自然に読者がわかるように書かれており、その巧みさと情感に浸れました。感情表現が抑えめなのは意図的でしょうか? もう少しあってもよいような気がしました。
壮大でSFちっくな世界観でありながら、どこまでも繊細に表現されている人の感情の機微。凄すぎます。
老婆と男たちと幻の女、遠い宇宙の切ない短編です。遠い宇宙は、回想の時間なのでしょうか。そこには目に見えない美しさが描かれていました。時間を超越してるから終わった時間が澄む。飾り気のない言葉が、優しく胸に深く届きます。こちらの作家さんの手にかかると、どんなお話も芸術性をおびてくるから不思議です。