私は円円
金水 春子
私はゴキブリ
どうも、私はゴキブリ。ゴキブリのコクラ・ゴーギャンです。 ゴッキーって仲間には呼ばれています。
さっそくなんですが私は今、人生最大の危機に陥っています。
玉ねぎの匂いに惑わされなければ……。
所詮、ゴキブリなんで短い人生なんですけどね。
「キャアアアアア!!」
おっと悲鳴が聴こえました。 それもそうでしょうね。なぜなら私はゴキブリ。
でもよく見てください。
長く鞭のようにしなる触覚。 黒くぬらっと輝く鎧甲。 このチャーミングな丸い体つき。
かわいいと思いませんか?
ん? あれはもしかしてもしかすると"スリッパ"ではありませんか?
いけませんね〜 その程度の代物でこの私を殺せるとお思いですか。
無理ですよ。 なぜなら私はゴキブリ。
人間サイズなら初速300キロでカサコソできるのですよ。 諸説ありますがね。
バンッ
ハハハハハハッ!当たりませんよ!
当たれば一撃ジ・エンドですがね。
バンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッバンッ
そろそろ疲れてきたんじゃないですか? 先程よりもペースが落ちてますよ。
「う〜 キモい!!」
グサッ!
ぐはっ! くっ! 物理攻撃が当たらないとみるや私のマインドをクラッシュしに来ましたか。これはなかなか効きますね……
しかし、
無理ですよ。 なぜなら私はゴキブリ。
私のマインドは人間と比べ、たくさんあるのです。ひとつクラッシュされたところで他のマインドが即座にカバーするのです。
「キモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモいキモい」
フハハハハハハハハッ! だから効かないと言っているだろう!
「あ! そういえばあれがあったわ!」
あれとは何でしょうか? すごく気になります。
あ、もしかしてもしかするとあれってあれ?
「ゴキジェットと底を切ったペットボトル!」
あ、やっぱりそれですよね。そうきますよね。
くそッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!
あれだけはダメだッ! 私達ゴキブリ族の長きに渡って磨き上げてきた"適応力"を持ってしても克服なし得なかった障害。 それこそあの手に握られた、
ゴキジェット!!
どうするどうするどうするどうする! このままでは確実に私ことコクラ・ゴーギャンは死ぬ。どうすればいいんだアッ!!
むっ! これはなんだ? なんだこの感じは!
もしや、もしやこれが死線をくぐり抜けてきた先輩方が言っていた"覚醒"と言うやつか!!
いける! いけるぞッ!!
この背中に付いた膜を広げ回すように動かせばよいのだな!
さあ、やろうではないか!
「このクソゴキめぇーーーー!」
バサッ
「○ねぇーーーー!」
ブブブブブブブブブブ
「ギャーーーー! こっち来んなぁーーー!」
フハハハハハハハハッ! 人間め、私を恐れているのかな? だが許しておくれ。
来るなと言われても方向転換の仕方がわからんのだ!!
「うわぁァァァッ!」
バシッ
ぐっ!
「あ、落ちた。今のうちに!!」
カポっ
くっ、しばし気絶していたようですね……。 私としたことが少々熱くなりすぎてしまったようです。
ん? もしかしてペットボトル被せられてませんか?
「あとは上から……」
シュウウウウウウウウウッッッッッッ
イヤだあ嗚呼ああ! まだ死にたくないっっっッ! あああ、意識が…… だんだん朦朧と……
「あとはティッシュに包んでポイッと。 ああ、キモいキモい。 サブイボ立っちゃった〜〜」
知ってますか? ゴキブリは1匹見たら100匹いるものなんですよ。 諸説ありますがね。
私は円円 金水 春子 @asaZuKE
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