胴吹き

一輪でも 咲いてくれればうれしい

みきの途中でも 花には変わりない

目の高さに 可憐な春の彩り

あそこにも そしてここにも


何故だろう 

枝に咲き誇る 花の群れよりも

かわいらしいと思う

枝で咲くことができず

低い位置でひっそりと 

控えめに開いた花を

愛おしく思う

ここにも確かに 春がある


一本一本の樹を確かめて歩く

子供の頃 よく遊んだ公園だから

昔からある 老木たち

何十年も ここにいる

この街に根付いたベテランたち


そろそろ高い枝にも

花が咲き始めたね

空気のぬくもりが変わって

一斉に色が現れたね


人々の目線が上に集中しても

先に咲いたのは あなたたち

春の訪れを いち早く

伝えてくれたのは

生きる力に 満ちあふれた

他ならぬ あなたたち


上ばかりを見るのではなく

時には目の高さで探そう

たまには低い位置を確かめよう

高みだけを求めずに


手の届く場所に 意外な幸せがある

あなたたちは それを教えてくれた

忘れかけていた 大切なことを

ありがとう 小さな春

ありがとう 待ちわびていた春

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詩集~春を待ちわびるうた 清水川涼華 @fairy-tale

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