あるところに、【満月の魔女】と【新月の魔女】に守られた国がありました。月の満ち欠けに応じて二人の魔女に祈りを捧げることで、この国の繁栄は支えられていました。ところが、新月の夜に生まれた王女には、恐ろしい呪いがかけられてしまったのです……。
悪い魔女の呪いから姫を守るための努力が、逆に人々の心を姫から遠ざけてしまう皮肉。姫を愛する細工師が、逆に姫と王国を危機に陥れてしまう運命。姫を助けようとする細工師の前に現われた謎の騎士。宝玉を守る聖獣たち……。
おとぎ話風の設定と語り口調でありながら、内容はきっちり大人向けで、つい先へ先へと読み進めてしまいました。
繊細な描写と世界設定は、『千夜一夜物語』を想わせます。
王女の謎が全て解けたとき、物語の結末に、読者は満足することでしょう。