夢はなんですか

相生隆也

夢はなんですか

あなたの夢はなんですか?

そして、あなたに夢を叶える気があるのなら私は全力であなたの夢を応援しましょう。


ああ、俺の夢はなんだったのだろうか。昨日、道で出会った後輩の言葉を思い出す。それからずっと考えているが、結論は出ない。


秋の麗らかな日差しの中、1人考えながら自転車を漕ぐ。河川敷の上を走っている時、ふと自転車を止め寝転んだ。


そもそも、夢とはなんなのだろうか。考えているうちにそこが分からなくなってしまった。


将来的な目標?人生の目標?もっとアングルを変えた場所にある違う何か?


遠くでチャイムの音がする。あと5分で1限の始まりだ。間に合わないなら、午前はふけるか。


「いいんですか?こんなところにいて。」

気がつけば、あの生意気な後輩が覗き込むでいた。

「あぁ、お前か。…教えてくれよ。そもそも夢って何なんだろうな。」

後輩は少し考え込み、

「例えばですねー。」

言葉を区切り恥ずかしそうに、

「笑わないでくださいよ。」

「ああ、絶対に笑わないよ。」

「私の夢は、先輩のお嫁さんです。」

顔を真っ赤にしながら答える彼女を愛おしく感じ、

「はははっ。」

堪えきれず笑ってしまった。

「もぅ、笑わないって言ったじゃないですかー。」

顔が真っ赤なまま体全体で怒っているアピールをする。

でもそうか、確かにそれも夢だ。俺が少し難しく考え過ぎていたのかもしれない。

真剣になった俺の表情で察したのか、彼女は落ち着き、

「どうです?答えは出ました?」

「俺は、1人じゃ生きていけないんだ。」

「知ってます。先輩の幼少期もご両親のことも。」

「だからこそ、側に誰かいて欲しい。今までは、誰でもいいと思ってたんだけどな。」

そう言い頭を掻く、そして立ち上がり向き合い、

「俺の夢は叶いそうだ。」

彼女は照れ臭そうにしながら、

「おめでとうございます、それで具体的には?」

もう耳まで真っ赤にしてわかりきったことを聞いてくる。

耳元に口を近づけ、

「お前に永久就職。」

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