「日本刀の使い方!?・④」
「その勝負!待たれい!!」
と、大きな声がかかったかと思うと、背中に刀の袋を担いだ、ちょうど帰る所だった居合爺ちゃんが、五里田と共に現れた。
「双方とも剣や刀を納めるのじゃ!!」
居合爺ちゃんに言われ、動きを止める青年研師と従者の二人。居合爺ちゃんは、まずは顔見知りの青年研師に声をかけた。
「なあ、研師の息子の広道くん!このままでは、すぐに警察が来て御用となるのじゃ!!」
顔見知りの居合爺ちゃんに言われ、仕方なし!と、素直に構えをとき青年研師は刀を下に下げた。
「それは異国の者とて同じなのじゃ」
居合爺ちゃんは、従者にも言うが、青年研師が刀を下げると同時に、従者も構えていた剣を下ろしていた。その様子に、鞘乃やブレ学女子、ランスの3人はひとまず、ホッとした表情を浮かべた。
「さて、その様子では本気でやりあうようじゃったが。正気か?」
居合爺ちゃんの言葉に青年研師と従者が答えた。
「ああ」
「その通りです」
「ふむ!何があったかは知らぬが。ここでは
「はい!」
「大変!
「はい!!」
五里田は大慌てで校長室に向かった。
「さて!ところで、なぜお前がここにいるのじゃ!なあ、
居合爺ちゃんはブレ学女子に向かって言った。
「だって!
居代と呼ばれたブレ学女子は、慌てて青年研師の背中に隠れた。
「だって、私!広道の
「なんと!そこの青年研師が許嫁じゃったとは!?来月に玄孫が同じ業界の者と結婚するからと、お前の父親から連絡をもらっていたが!まさか相手が、そこにいる青年研師じゃったとは!?」
「曾々爺ちゃん!広道じゃダメだった?」
「いや!天晴れじゃ。青年研師の人柄なら大正解じゃ!!」
「なっ!居合師範!!結婚していいのかよ!?まだ16歳だぞ!?」
居合爺ちゃんの言葉に青年研師はビックリした。
「何を言うかね広道くん!昔は十五で嫁に行ったものじゃ!!」
「赤とんぼの歌かよ!いつの時代だよ!?」
青年研師は居合爺ちゃんに呆れていた。
「やった!!曾々爺ちゃん大好き!!」
すると青年研師の背中に隠れていた居代は、飛び出すと居合爺ちゃんに抱きついた!
「これこれ!幾つになっても甘えん坊じゃの!!」
その様子を見つつ、従者が咳払いした。
「コホンッ!こちらの決着はついていませんが?」
「おっと!そうじゃったの!!」
ちょうどそこへ、息を切らしながら五里田が走って帰って来た。
「はあはあ、こっ、校長から、たっ、体育館の使用許可が、出ました!」
「よし!では、続きをしようかの!斬るに特化した日本刀と、突く叩くに
こうしてその場にいた全員が体育館に移動したのだった。
◇◇◇
「それでは、青年研師広道くん対、ランスさんの従者くんとの真剣試合を行うのじゃ!!」
広い体育館の真ん中、居合爺ちゃんが背中合わせに立つ、青年研師と従者に言った。青年研師は白のTシャツにダメージジーンズに裸足、そして胴田貫正国を腰のベルトに差し立っていた。対する従者は白の燕尾服の上着と淡金色のチョッキを脱ぎ、Yシャツに淡金色の蝶ネクタイ、白のスラックスに、靴裏を綺麗にした白のエナメル靴の姿に、
「さて!真剣を使っての試合じゃが!寸止めにて決着とする!!」
うなずく二人。
「では、始め!」
「「勝負!!」」
―――バッ!
青年研師はしゃがみこみながら、右に回り抜刀!立て膝を着きながらの素早い横抜き付ける。が!対する従者は前方に飛び込みながらの前転をし、その抜き付けをかわすと、従者も立て膝を着きながら抜刀を終えた。
――スッ
そして互いに距離を取ったまま、ゆっくりと立ち上がる二人。やがて、先ほどの立ち合いと同じように、互いに切っ先を向き合いながら右へ右へと回り出した。
「互いに、隙あらば利き手を斬り落とそうとしておるな!」
居合爺ちゃんが言った。
「本当に斬るのは非常に
五里田が心配そうに言った。
「まあ、二人とも相当の手練れじゃ!ちゃんと寸止めするじゃろうて!!」
その時!
―――ダンッ!!
青年研師が強く踏み込んだかと思うと、上段から胴田貫を振り下ろした。
――キンッ!
という音と共に飛び散る火花!!振り下ろされた刀を、左手を刃に添えた従者が両手を振り上げ、刃で受けていた!
「!!!」
従者は驚いていた。幅が8センチほどの
「意外に硬くて残念だ!お前を剣ごと、頭から斬ってやろうと思ったのによ!!」
まさか!と従者は思いつつ、西洋剣本来の戦い方!反射的に、棒状に横に飛び出た剣の
ドカッ!
青年研師は従者に前蹴りをした。しかし!従者は蹴りをくらったが、その勢いを使い、上手く後ろに飛び退いた。でも、その瞬間を見逃さない青年研師は、剣道の面打ちの動き!ボクシングのジャブのように、突き付ける動きを繰り返した。
―――シャ!
――シャ!シャ!
従者はひとまず、先ほどのように剣の刃で刀の刃を受けぬよう、剣の平で払い受け流した。それも!難しい下がりながらの受け流しでだ。
「凄い腕前じゃ!非常に難しい、下がりながらの受け流しをしておる!!」
「本当ですね!!」
居合爺ちゃんは関心していた。それは五里田も同じで、女子生徒では見られない戦いに内心、
「あいつら!絶対、寸止めする気ねーだろ!?ゼッテー、止められねーだろ?あの速度!?」
刀子が驚きの声を出していた。
「マジか!これが本当の戦いか!?」
「超ウケルwww」
加藤と宝蔵院も驚きの声を出していた。
さて、互いに相手を休ませる事なく、剣や刀を繰り出す二人。
「
従者は、
「くっ!良い刀を作る為には、実際の使い方を知らねばならないからな!」
「ウッ!しかし、使い方を知るレベルの剣術では無いですね?」
「おりゃー!!どんな打ち方、受け方があるのか?刀に求められてる性能とは何か?それを自分で見極めなくて、どうして人に渡せる刀を作れる!?」
青年研師と従者の真剣試合は、その後、小一時間ほど続いた。従者もそうだが、いまだ通常の日本刀よりも重い刀を軽々と振る青年研師。
「両者そこまで!!」
体育館に居合爺ちゃんの声が響いた。青年研師と従者の体からは湯気が立っていた。二人とも互角の戦いだった。
「実力伯仲とは、まさにこの事!!素晴らしい試合じゃった!!」
「いやー!感動しました!!これが本当の真剣勝負なのですね!!」
五里田は涙を流して喜んでいた
「さてさて、まだ腹の虫も収まらぬと思うのじゃが」
居合爺ちゃんがいまだ、剣を鞘に納めぬ従者を見て言った。
「ちと確かめたいのじゃが、広道くん?」
青年研師を見る居合爺ちゃん。
「はい」
「本当に結婚する気は無いのじゃな?」
黙ってうなずく青年研師。
「曾々爺ちゃん!?」
居合爺ちゃんは、心配する居代を無視して言った。
「さてさて、広道くん。ワシとしては、とても残念なのじゃが、この婚儀を……
白紙とする!!ワシから孫夫婦に伝えおこう!」
ホッとした表情をする青年研師。
「えっ!なんで!?酷いよ曾々爺ちゃーーん!!」
半泣きの居代は、居合爺ちゃんのびくともしない肩を揺さぶっていた。
「剣をありがとうございます。さて、帰りましょうランスお嬢様」
いつの間にか剣を鞘に戻した従者がランスの側にいた。
「さて!帰るぞ居代よ!!」
居合爺ちゃんに背中をさすられる居代。背中を押され体育館を出るよう促されると、急に振り向き、ランスに向かって言った。
「私!絶対に広道を諦めないから!!」
すると、ランスも言った。
「ワターシもデース!!」
「あなた!勝負よ!抜刀祭で広道をかけて勝負よ!!」
そして、居代はランスを指差した。
「イイデース!ワターシも抜刀サーイにデマース!!」
それを見た従者は、小さくうなずいた。
◇◇◇
居代たちやランスたち、そして槍ギャルたちを見送った鞘乃たちは、街灯が
「しっかし!スゲー戦いだったな!!」
「ホント!鳥肌が立ったピョン!!」
興奮冷めやらぬ刀子と柄恵。
「…出る」
その後ろを鞘乃は、うつ向きボソボソと、つぶやきながら歩いていた。
「…も出る」
「んっ?鞘乃なんか言ったか?」
「…っぱり、出る」
「えっ?鞘乃、何ピョン!?」
すると突然、大声になって鞘乃は叫んだ。
「やっぱり、私もぉおお!抜刀祭に出るのぉおおおお!!」
鞘乃はそう……
宣言したのだった。
おしまい
☆最終雑談!?
「いやー!花の帯刀女子高生の日常を描いた、”セーラー服と日本刀”も、終わってしまったピョンね!!」
「柄恵!なんだ、そのタイトルは?映画か?それともテレビドラマか!?」
「刀子は、いつまでとぼけているだピョンよ!!」
「私!絶対、居代ちゃんを倒す!!」
「まあ、私も絶対倒したい相手がいるピョンよ!!」
「オレも!下抜刀を覚えた今なら銃夢先輩にだって……」
「てか!もうどうせ最後だから!抜刀祭に出る予定の選手を、
「マジか!柄恵、知ってんのか!?」
「市立!セーラー高校からは、3年・孤高のガンマン、銃夢!2年・熊狩り達人、叉鬼!1年・黙ってくれ!超絶美少女、刀子!!」
「うるせーな柄恵!」
「そういう異名なんだピョン!お下げ眼鏡ちゃん、鞘乃!超絶可愛い可憐少女、伊達!明るい燕返し、佐々木!人の身でこの技術、忍者!可愛いのが取り柄、河合!セラ高のシンデレラ、貧子!虎退治だ、加藤!槍の事なら、宝蔵院!トンボが切れる、本多!物理部のメガネ、
「おお!一年がスゲー居るなっ!?」
「県立!ブレザー学院からは、3年・神の
「おい!どうした柄恵!?」
「あっ!ごめん刀子、なんでもないピョン!!」
「てか、ブレザー学院はなんか、強そうなの多いな!!」
「まだあるピョン!!私立!自由私服学園からは、3年・冥界からの使者、死神!
「なんだよ!人間じゃねーのばっかじゃねーか!?」
「そして、最後に工業高校からは、3年・切り裂く爪、
「うおー!ヤベー!熱くなるぜーーー!!早く抜刀祭に出たーーーい!!!」
「てか!みんなの応援で、もしかしたら続きが読めるかも知れないピョンよ!?」
「つ、続き?いったいなんの続きなんだ!?」
「とにかく!刀子も応援するんだピョン!!」
「おっ、おう!!じゃあ、鞘乃も!!」
「私!絶対……
居代ちゃんを倒す!!!」
―――最後まで、ありがと!( ≧∀≦)ノ
セーラー服と日本刀 草風水樹(くさかぜみずき) @kusakazemizuki
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