第3話 土日祝日。

 ハローワークの求人を見ながらいつも思うのは、私の住む地域の会社は土日祝日休みの会社が少ないということです。日祝日がお休みの会社ならありますが、大抵、週休二日制その他。就業規則に関する特記事項 36協定届出済。では年間休日数の欄を見てみましょう。大抵80日から100日の間。つまり、月に土曜日に休める週は多くて2週。大抵は1週ということです。また、ここに「会社カレンダーによる」という一文まで付きます。つまり、入社してみないことには、いつ土曜日がお休みなのか分からないのです。例えば、ゴールデンウイークのある5月は、ゴールデンウイーク中に土曜日のお休みがあるから、5月は他の週に土曜日の休日を設けていないかもしれないのです。

 地方ですので仕方がないのでしょう。大体、求人があるだけマシだと思わなくてはいけないのでしょう。

 それでも私は思うのです。土日祝日は休みたいと。

 

 土日祝日休みの仕事に就きたいと思うこと自体いけないことなのか。私の頭の中は、まるで罪を犯す気持ちにまでなります。なんてことはありません。私は土日祝日休みの仕事に就きたいと思っているだけなのです。


 ネットの世界をさまよい、「土日祝日の休みの仕事に就きたい」なんて調べてみましょう。そこには「土日祝日休みだと、どこも混んでいるし割引がきかないデメリットもあります」なんてあります。

 確かに混んでるかもしれません。割引もないかもしれません。

 でも、大抵のセールなんて金土日月。イベントだって、土日です。

 人がお休みの日だからこそ、セールをしイベントが開催されるのではないかと私は思うのです。


 それなのに、ハローワークの求人は土日祝日休みの完全週休二日制のお休みのお仕事ではなく、日祝日休みの仕事ばかり。やっと発見した求人は応募条件に経験者と30歳以下の一文が。


 私は贅沢なのか。別に土日祝日お休みなら、残業をしよう。休日出勤するくらいなら残業する、そう思うのに。


 あたりを見渡すと真剣にハローワークのパソコンに向かっている人ばかりです。老若男女色んな人がいます。この人達を蹴落として私は転職しなくてはいけないのです。

 

 私より若い人。

 私より経験のある人。

 私より資格のある人。


 そう、自己嫌悪の時間の始まりです。


 私の周りだけが真っ暗闇に包まれたような気分になります。


 もう死んじゃいたい。もう生きててもいいことなんてない。だってもう30だもん。彼氏もいないし。結婚の予定もないし。経験した社数は5社以上だし。私ってなんて価値のない人間なんだろう。きっとハローワークの人だってこんな人間に会社紹介なんてしたくないよ。こんな人間なんて採用したい会社なんてないよ。

 


 真っ暗な真っ暗な闇の中。いつ明けるかもしれないこの転職活動という闇の中で私はもがき苦しみなくてはいけないのです。


 転職先が決まるまで。 


 

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世界の片隅にも居場所のない私 黒江七右衛門 @nirenohana

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