第5話 もう戻れない

次の日の朝、蓮はいつもより早く起きてテレビを付けた。


「次のニュースです。日本中で人気となったSNSアプリ『BINE』が世界進出を果たしました。今後、益々拡大していくと予想されております。」



蓮「BINEか。。。ちょっと調べてみるか」


情報は時に思いもよらぬ悪事に加担してしまうとは、

この時蓮以外の誰もが思わなかっただろう。




蓮「おはようございまーす」


田中「お、おはよう。蓮君」


金曜日の事を確実に気にして、動揺を隠せないでいる田中さんが蓮に声を掛けてきた。


田中「あのね、蓮君。金曜日のことなんだけど。。。」


蓮「ああ、もう気にしてないんで安心してください。お酒の席って事もありますしね。」


田中「よ、良かったあ。。。また今度飲みに行こうね」


蓮「はい、是非。」



この時、蓮が精一杯の作り笑顔をしていたことを

田中さんは知る由もなかった。




その夜、定時で上がった蓮が向かったのは、とあるクラブだった。


クラブに入ると騒音と周りのハシャギ声で自分の声すら届かない。


蓮は人を掻き分けながら奥に進むと、確実にその場で出会ったような男女が抱き合っていた。


蓮は男に向かって念じた。



ー そのまま舌を噛み切って死ね ー



また体から光のようなものが発せられ、その男に直撃する。


その瞬間男は不自然なくらいに口を開け、舌を噛み切って倒れた。



きゃあああああああ



女が悲鳴を上げる。

周りもそれに釣られて悲鳴を上げ、

一斉に逃げ出す。


蓮はそれを知らずに向こうで女をナンパしている5人組の男に一人ずつ念じる。



ー 自分の服に火を付けて暴れろ ー



発せられた光が5人組の男達に直撃する。


その瞬間、次々に持っていたライターで自分の服に火を付け、狂ったように暴れ出す。

周りも大パニックに陥った。

男達に燃え上がった日は多くの客に飛び火した。


慌てて入り口から逃げ出そうとする女達。


女「あれ!開かない!何で!?」

男「おい!嘘だろ!?誰か開けろ!おい!」

女「誰か助けてー!」


そんな悲鳴の中、既に蓮は外に居た。


蓮はクラブに入る前、能力を使って警備員から入り口の鍵を奪っていた。

周りが慌てて入り口から逃げ出す前に、他の客に能力を使い鍵を閉めさせていたのだ。


若者達の悲鳴が外にも響いてくる。

その瞬間、大きな爆発音と共に建物が崩れ出す。

更に燃え上がる炎。


次々と消防車、救急車、パトカーがクラブに向かって行く中で、蓮は小さな笑みを浮かべながら




「ここに来るやつなんか、皆欲望の塊だ。まずはお前らから消えろ。」




そう呟きながら帰路に向かう。


燃え上がる炎と断末魔を背にして。

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人類強制化計画 無欲天性 @NS_2018

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