ストーリー的には転生モノで2人の人格が混ざり合って前世の人格が強く出ているようだが第三の人格に生まれ変わるタイプの作品です。
お家騒動を経て、絶対神と行動する事でその絶対神を崇める宗教の腐敗などと政治的に……なんとなく力押しになりそうな雰囲気もありますが先を楽しみには出来る作品になりそうです。
力押しだと言うのは、お家騒動でのやり取りで少々、強引な展開がチラホラしていたので念密な計画がどうこうという方より、あっさり風味が好きな方の方が好まれると思います。
2つ、モノ申したい事があります。
セリフを連投する時が時折あり、その時の状況、絵が想像しにくい、描写不足が難点。
後、あらすじでも書かれてますが、せっかちな人は飛ばして読むように書かれてます。
あれはせっかちでなくても読み飛ばして問題ありません。
まあ、蛇足と言ってもいいでしょう。あの長い話を分断して1話程度で語れる程度に纏めてプロローグとしてした後で飛ばして読む場所から始められたら、もっと読まれた作品になったでしょう。
残りの話はストーリーの流れに少しずつ挟んだり、エピソードとして語れば読み飛ばされる事なく伝えられたのにな、と残念に思いました。
ですが、たったこれだけを手直しすれば、とても良い作品なのは間違いありません。
今回の作品だけでなく、今後、この作者が作られる作品を注目する為に一度、読んで、この作者、南木という名前を覚えておかれると良いと私は思います。
この作品には、一貫して「人生をばかばかしいものとして扱う態度」があって、そこが気持ちいい。
そしてばかばかしいものなのだけど、人生には危険なことが次々起こるから、仕方がないので主人公は力を発揮する。
この「しょうがねえなぁ」という態度が心地いいのである。
タフでクールなハルがその能力を存分に発揮して、精一杯の力でアタマとカラダをつかって現実を切り開く。
そしてまぁだいたいハルの思惑通りに行くのだけど、しかし思惑を超えた全然別の力が働いて、またもやハルは運命にもてあそばれる。
それはまぁ、人間とこの世界の縮図のようなものだ。
そしてこれほど笑える話もなかなか無いのである。