人間らしい気持ち悪さと、非人間的な気持ち悪さ

奇妙で残酷な学級裁判を描いた作品です。クラスに存在するかもわからない、なんの証拠もない、そんな中で犯人を求めて責任を押し付け合う姿は実に人間的な悪性に満ちています。主人公はそんなクラスメイトをニヒルに客観視し、その行動を心中で批判していくわけですが……。最後に物語は多面体的な回転を遂げ、別の構図をあらわにします。
罪がバレれば糾弾される立場にありながら、他人事のように涼しい顔で観察し、他人の悪性を指摘できるその非人間性。
感情的でヒステリックな人間性と、冷静だがすっぽり罪悪感の抜け落ちた非人間性。
果たして、どちらが本当に気持ち悪いのでしょうか……? 

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