第3話

あれから一週間、、、

俺は、新しい一年をゆっくり歩み始めていた。

今まで俺は彼女が笑っているのを見たことがない。

クラスメイトの女子たちから彼女はまるで氷のようとまで言われていた。

確かに彼女はあまり笑わないし、表情も硬い、でも俺はその中に寂しさや悲しさを見出していた。


「雪菜、今日もお昼一緒に食べていい?」

なぜか最近あいつ、岸田零紀は彼女、霧島雪菜に妙になれなれしい。

あの日からしばらく考える時間があったので考えた末、一応の答えは導き出した。

それは、『俺は彼女に恋をしている』ということだ。

そして、岸田零紀もまた彼女に恋心を抱き、学校にいる間中付きまとっているというわけだ。

そしてついにある日、彼女と俺、岸田で昼ご飯を食べているとき…

「あの、ちょっといいですか?明日から私、お昼は一人で食べていいですか?仲いい人話していると時間を断つのを忘れっちゃって課題とかレポートが手につかなくなっっちゃうから昼休みの間に図書館で勉強したいんだ」

雪菜からの突然の提案に俺は一瞬凍り付いたが、切り替えていった。

「まあ、いいんじゃない?わからないところあったら今度教えるよ。英語と心理学系なら教えられそうだから」

「いいの?わからないところあったらきくね。ありがとう」

彼女は言った。

「でも、それなら昼ご飯食べてからでもできるんじゃない?」

「岸田、そんなにあいつの単位を落とさせたいのか?おれたちにその申し出を断るほどの理由はない」

俺は岸田に言い放ち彼女の申し出を受け入れた。

それからは俺は彼女にいつでも教えられるように教授の板書や言っていたことをノートに写しまた、それを分かりやすくまとめて準備と自分の学習を進めた。

彼女は、宣言通り図書館で興味の赴くままに勉強に励んでいた。

そして、岸田は毎日飽きもせず彼女の近くにいるためか毎日図書館に足を運び本を読んでいるかのように見せかけていた。

たまに俺も興味のそそる本を探しに図書館に赴いていたがそのたびに岸田が彼女に熱い視線を時々送っていることに気づいていた。

まあ、そんなことは俺にとっては些細な事、、、

でもあそこまで熱烈にアプローチしているのを見て焦らない俺ではない。

そんな日の夜に彼女からRINEで連絡があったことに気が付いた。

『忙しいと思うのですが明日の昼休み今日と昨日の英語と心理学の内容を教えてもらっていいですか?』

時間は18時29分となっている。

『返事遅れてごめん、明日の昼休みだよね。もちろん、俺なんかで役に立てるならいくらでも協力するよ』

と返事を返し、明日教えるといった科目の教科書とノートをいつも持って行っているカバンに突っ込んだ。

そして、部屋で小説を書いているとそこに返事が来た。

『ありがとうございます。明日はお願いします』

そして、俺は改めて彼女は丁寧だな、、、そう思った。

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氷の姫とぬくもりと @now0613

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